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一人暮らしで入院するとき。手術の同意書と、退院したあとの行き先

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入院申込書の保証人の欄が空のままでも、入院はできます。

手術の同意は、本人以外が代われません。 同意書は本人の欄だけで成り立ち、家族の欄は、本人が署名できないときのための欄です。 入院の手続きや入院費の保証は、身元保証会社に頼めます。同意だけは頼めません。

署名とは別に、手術の日に病院で待つ人を求められます。 署名が要らないと言われても、当日の同席は別に頼むことになります。

退院したあとの行き先は、こちらから言い出す前に病院の側から声がかかります。

病院に着いて渡される紙のうち、埋まらないのは保証人の欄だけです

動けるうちは、自分で119番を呼びます。 呼べないまま倒れたときに気づいてもらう方法は孤独死を防ぐ見守りで書いています。

救急で運ばれても、受け答えができるなら、入院の書類を書くのは本人です。 渡されるのは入院申込書と誓約書で、本人の欄、保証人の欄、緊急連絡先の欄に分かれています。 本人の欄は自分で埋まります。

保証人を頼める人がいないというだけの理由で、病院が入院を断ることはできません。 国が全国の病院に出した通知で、そう示されています。

保証人の欄が空のままだと、かわりにお金を預けるよう言われます。 額は5万円から10万円ほどで、退院のときの入院費に充てられ、残れば戻ります。

入院費そのものには上限の仕組みがあります。 加入している健康保険に「限度額適用認定証の手続きをしたい」と伝えると、病院の会計で払う額が上限までになります。 70歳以上で住民税がかかっていない方なら、入院を含めてひと月24,600円が上限です。 差額ベッド代と食事代は、この上限の外です。

身元保証会社というのは、入院の手続き、入院費の保証、緊急の連絡先、 退院したあとの荷物の引き取りを引き受ける会社です。 契約すると、保証人の欄にその会社の名前が入ります。ただし同意だけは別です。

病院の中の相談窓口は、医療相談室・地域連携室・患者支援センターなどと呼ばれています。 受付で「医療ソーシャルワーカーの方に相談したい」と言えば通じます。 市区町村の高齢者の相談窓口のほうは、地域包括支援センターと呼ばれています。 「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で調べられます。

病院が保証人を求める理由と、欄が埋まらないときに病院が用意している方法は入院の保証人がいないにまとめています。

同意書の家族の欄は、空のまま出せます

手術・麻酔・輸血の同意書には、本人の署名欄と、家族の署名欄が並んでいる書式が多くあります。 欄が2つあるので2人分の署名が要るように見えますが、家族の欄は、本人が署名できないときのための欄です。

病院ごとに書式は違いますが、本人が署名できるなら家族の欄は空で出せる、という点はどこも同じです。

獨協医科大学日光医療センターの輸血同意書は、様式にそう書いてあります。 「* 患者様の署名がある場合は代理人の署名は不要です。」

条件を書いている書式では、こう書かれています。 大阪市立総合医療センターの説明同意書は「※ご本人が未成年、または意識障害などで署名できない場合は、 親族・保護者・親権者・後見人等の代諾が必要です」。 代諾というのは、本人に代わって決めることです。受け答えができているなら、代諾は要りません。

麻酔の説明書は、家族の欄が無く、署名欄が1本だけという書式です。 家族の欄がある書式でも、その欄は空のまま出せます。

本人が受け答えできるうちは、家族が代わりに決めることはできません。 受け答えができなくなったときに、家族が代わりに書く欄が代諾です。 家族がいない場合は、医療・ケアチームが決めます。

手術の同意を決める人は、受け答えができるかどうかで入れ替わる。受け答えできるときは本人が決めて本人が署名する。家族も、後見人も、身元保証会社も代われない。受け答えができなくなったときは医療・ケアチームが決める。家族がいれば本人の希望を聞かれ、家族がいなければチームが本人にとっていちばん良い方針を決める。

決める人の話とは別に、書く人の話があります。 判断ができていても、手に力が入らなければ署名できません。 さきほどの説明同意書は、代筆者の欄と代諾者の欄を別に置いています。 代筆は本人に代わって書く欄、代諾は本人に代わって決める欄です。 手に力が入らないだけなら、書いてもらうのは代筆の欄で、代諾の欄は空いたままです。

国が病院向けに出した手引きに、医療の同意は本人以外が代われないと書かれています。 どの会社でも同意だけは引き受けられません。 たとえば一般社団法人献身会は、よくある質問でこう答えています。 「入院中の手術や輸血、延命治療の同意なども身元保証人である献身会がしてくれるのでしょうか?」に対して、 「当会が行う身元保証には、それらに同意する権限はありません」。

後見人は、判断が難しくなった人のかわりにお金の管理や契約をする人です。 同意は代われませんが、身元引受人の欄に後見人と書ける病院はあります。 そこは同意の欄ではなく、身元を引き受ける欄です。

身元を引き受けるというのは、退院のときに荷物と本人を引き取ること、 亡くなったときにご遺体を引き取ることです。 引き取る人がいなくても退院はできます。荷物を自分で運べないときは、 退院支援の担当に相談すると、運ぶ手立てを教えてもらえます。 ご遺体を引き取る人がいない場合は、市区町村が引き取って火葬します。 入院の書類に並ぶ欄それぞれが何を求めているかは病院の保証人とはにまとめています。

自分がかかる病院の同意書は、入院や手術の説明を受ける日に渡されます。 入院の案内としてサイトにPDFを置いている病院なら、その前に読めます。 開いて、家族の欄が1つか2つかを見ておくと、当日どこを空にするか決めておけます。

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「手術が必要な時の保証人は一人の場合はどうしたらいいかわからない。」
大阪府・60代・男性

本人の署名だけで出せます。当日の同席は、署名とは別に頼めます。

手術の日に病院で待つ人は、署名とは別の話です

同席する人がいなくても手術は行われます。

そのうえで、大きな手術のときは、同席者を求めることを原則にしている病院があります。 手術中に予想外のことが起きたときに、その場で説明する相手がほしい、という理由です。 同席する人の続柄を条件にしている書きぶりは、見当たりません。

家族がいない場合は電話の相手もいないので、病院が決めます。 広島大学病院の輸血同意書には、事前に同意を得られないときのチェック欄があります。 「緊急の使用が必要で,同意書を得る時間的余裕がない」「家族等との連絡がとれない」「その他」の3つです。 連絡する家族がいない場合は「その他」に印が付いて、輸血はそのまま行われます。

自分の場合にどうなるかは、手術の説明を受ける日に決まります。 そのときに「当日、病院で待つ人が要りますか」と聞いてみてください。

頼める相手がいないときは、保険の外で頼む付き添いのサービスがあります。 自費の付き添い、家政婦紹介所、介護のヘルパーの自費利用といった呼ばれ方をします。 1時間3,740円から4,488円、交通費が1回990円という会社があります。 その地域で頼める先は、病院の中の相談窓口で教えてもらえます。

意識がないときは、医療・ケアチームが決めます

麻酔中や、運ばれたときに受け答えができない場合の順番は、 厚生労働省が病院向けに出した手引きに書かれています。 ①本人の意思が分かるとき、②家族が本人の意思を推し量れるとき、③家族がいないとき、の3つです。 当てはまるのは3つ目です。

3つ目にあたる場合は、本人にとっていちばん良い方針をとることを基本とする、と書かれています。

家族等には、兄弟や、長く付き合っている友人も入ります。血のつながりだけで決まるものではありません。 ただし友人も、同意を代われるわけではなく、本人の希望を医療・ケアチームに伝える役です。

手術が取りやめになるのではなく、決める人が変わります。医療・ケアチームというのは、医師と看護師だけでなく、相談員やケアマネジャーも入る集まりのことです。 話し合った中身は文書にまとめられます。 受け答えができるようになってから、担当の看護師に頼めば見せてもらえます。

病院の側の決まりにも、同じ書き方があります。 千葉県循環器病センターのインフォームド・コンセント運用マニュアルは 「判断力のつかない患者で身寄りがない場合等は、複数の医療者で判断して治療方針を決定する」としています。

受け答えができるうちに、治療の希望を書面にしておく方法があります。 延命について、どこまでを望むかを書いておく紙で、事前指示書と呼ばれています。 書くのは3つです。心臓が動かなくなったときに戻す処置を望むか。人工呼吸器を望むか。 管から栄養を入れることを望むか。

かかりつけの病院があれば、そこで「事前指示書について聞きたい」と言えば通じます。 決まった病院に通っていない方は、市区町村の高齢者の相談窓口が相談先になります。 決まった様式はないので、自分で書いた紙でもかまいません。 冷蔵庫や財布に入れておくだけでも、運ばれた先で見てもらえます。

家で倒れたときのために、持病と連絡先を入れておく容器を配っている市区町村があります。 救急医療情報キットという名前で、冷蔵庫に入れておきます。 置いているかどうかも、市区町村の高齢者の相談窓口で分かります。

連絡先の欄に書く相手がいなくても、かかりつけの病院名と、飲んでいる薬だけでも書いておくと、 運ばれた先で分かります。

退院の相談は、遅くとも入院して7日までに始まります

病院から声がかかるのは、決まりがあるからです。 病院が受け取るお金の決まりで、退院に困りそうな人に担当を付けると、病院に加算が付く仕組みになっています。 入院して3日以内か7日以内に、退院に困りそうな人を選び出す決まりがあります。

入院した日から退院までに、自分がすることと病院がすること。入院した日に自分は保証人の欄を空のまま申込書を出す。遅くとも7日までに病院は担当を付け、自分は退院したあとの希望を伝える。退院の日までに病院は行き先の候補を探して見学の手配をする。

選び出す条件は一覧になっていて、そこに 「退院したあと世話をしてくれる人がいない」という項目が入っています。一人暮らしで頼める人がいないことが、そのまま条件に当たります。自分から申し出なくても、担当が付く仕組みになっているということです。

要介護の認定を受けていない、入院前より体が動きにくくなった、 退院したあとも医療の処置が要る、といった項目も並んでいます。 認定を受けていないほうが選ばれるのは、介護のあてがまだ無い人ほど、退院してから困るからです。 当てはまる人には担当が付きます。

担当になるのは、入退院支援の部門にいる看護師か社会福祉士です。 入院して1週間たっても声がかからないときは、 受付で「退院支援の担当の方と話したい」と言ってみてください。 この部門を置いていない病院もあるので、その場合は病院の中の相談窓口が受け皿になります。

話す中身は、退院したあとの行き先です。3つに分かれます。

介護保険の認定がまだなら、その申請から始まります。

介護施設へ移る場合は、その入居契約書にまた身元引受人の欄が出てきます。 そこでも、いない場合の代わりが用意されています。 求められる中身と代わりの方法は身元引受人とはで並べています。

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「これから介護等が必要になったときどうしたらよいか。」
兵庫県・60代・男性

よく聞かれること

手術の説明を、ひとりで聞いても大丈夫ですか

大丈夫です。説明は本人に伝えるのが決まりなので、ひとりで聞くことになります。手術の説明で家族の同席を調整されても、いなければそのまま進みます。聞いた話を持ち帰って考えたいときは、その場で決めなくてかまいません。「持ち帰って読みます」と言えば通ります。

友人に、手術の日だけ来てもらうことはできますか

できます。病院ごとに扱いが違うので、手術の説明を受ける日に「友人でもよいですか」と確かめてみてください。来てもらう人に先に伝えることは2つです。署名は要らないこと、手術中に予想外のことが起きたときに説明を聞く役だということ。この2つが分かると、引き受けてもらいやすくなります。

急に運ばれて、そのまま入院になったらどうなりますか

着替えとタオルは病院で借りられます。パジャマやタオルを1日いくらで貸し出していて、1日70円ほどという病院があります。洗濯もその中に入っています。家の鍵は、入院中は病院の金庫で預かってもらえます。入院費は退院のときにまとめて払います。郵便は、郵便局に「不在届」を出すと最長30日まで預かってもらえます。郵便局の窓口でも、郵便局のサイトからでも出せます。電気・ガス・水道と家賃を振込用紙で払っている場合は、入院の前に口座振替に変えておくと安心です。

行き先が決まらないまま退院の日が来たらどうなりますか

退院の日は、決まってから伝えられます。行き先が決まらないうちに追い出されることはありません。ただし、治療が終わったあとも同じ病院に居続けることはできません。決まるまでのあいだは、リハビリのための病院へいったん移ります。介護施設の空きを待つときも同じです。決まらない理由がお金なら、その事情を退院支援の担当に伝えてみてください。生活保護の医療扶助や、かかるお金を抑えられる行き先を一緒に探すところから始まります。