病院の保証人とは。入院申込書に並ぶ欄と、誓約書に書いてあること
更新
入院の書類で名前を書く欄は、病院によって数も名前も違います。 身元引受人の欄が無い病院と、連帯保証人の欄が無い病院、どちらもあります。
まだ入院が決まっていない方は、病院のサイトの入院の案内にPDFが置かれていることがあります。先に開いておけば、誰にどの欄を頼むかを決めてから受付へ向かえます。 頼む相手がいなくても、どの欄が空いたままになるかが先に分かります。
欄が分かれているのは、頼む中身が違うからです。
- ・身元引受人 ── 荷物と、治療方針の相談と、退院のときの引き取り
- ・入院費を払う人 ── 入院費。本人が書く
- ・連帯保証人 ── 入院費。上限の金額が付く
- ・緊急連絡先 ── 連絡。お金の責任はない
保証人の欄を空けたまま出して、相談窓口で話をつけた人はいます。
署名するのは欄だけではありません。誓約書の本文にも同意します。 延滞したときの年利や、退院の指示に従うことが書かれています。
保証人の欄が埋まらないというだけの理由で、入院そのものを断られることはありません。 ただし、入院申込書を出したところで受付から連絡が来て、代わりの方法を決める話になります。

欄は4つ並ぶこともありますが、他人に頼むのは1つか2つです
入院が決まると、入院申込書や入院誓約書という紙を渡されます。 そこに並んでいる欄の数は、病院ごとに違います。
慈啓会病院(札幌市)の入院申込書は、患者本人のほかに、申込者、身元引受人、支払責任者、連帯保証人の 4つが並んでいます。京都大学医学部附属病院は、身元引受人と連帯保証人の2つです。
書き出しの4つのうち、入院費を払う人にあたるのが申込者と支払責任者で、 慈啓会病院は緊急連絡先の欄を別に置いていません。
欄が4つあっても、4人に頼むわけではありません。 慈啓会病院の書式は、欄ごとに「同上」のチェック欄を置いています。 前の欄と同じ人なら、チェックを入れるだけで済みます。4つ並んでいても、入院費を払う人の欄は自分の名前で埋まります。慈啓会病院なら、申込者と支払責任者は本人でよいので、 他人に頼むのは身元引受人と連帯保証人の2つです。
五日市記念病院(広島市)の入院誓約書には、連帯保証人の欄がありません。 お金の上限を約束する欄を置かず、身元引受人だけを求める作りです。 五日市記念病院とは反対に、天草市立牛深市民病院(熊本県)は身元引受人の欄を置かず、 連帯保証人を2人求めます。その2人が身元も引き受けます。

名前も違います。同じものを別の言い方で書いている病院があります。
| 欄 | 書式で使われている別の言い方 |
|---|---|
| 身元引受人 | 身元保証人 |
| 入院費を払う人 | 申込者、支払義務者、支払責任者、診療費等支払者 |
富士温泉病院(山梨県)は、身元引受人にあたる欄を「身元保証人」と書いています。 支払責任者は、自分の入院費を自分で払う欄です。 連帯保証人は、患者本人が払えなかったときに代わりに払う人です。 安来市立病院(島根県)は「診療費等支払者は患者さま本人でも結構です」と注に書いています。
誰に頼めるか、代筆でよいか、金額はいくらか。 欄ごとの条件は、欄のすぐ横か、裏面の注に印刷されています。
身元引受人の欄が引き受けるのは、荷物と、治療方針の相談と、退院のときの引き取りです
身元引受人という言い方は、入院の書類でいちばん多く使われています。 ただし、この欄が何をする人なのかを説明している書式は、多くありません。 欄の名前だけが印刷されていて、頼まれた側も引き受ける中身が分からないまま署名する形です。
五日市記念病院の入院誓約書は、中身を注に書いています。 亡くなったあとのことまで書いてあります。
身元引受人:患者さんご本人に代わって本人の所持品を預かったり、治療・手術方針について確認をしたり、 患者さんご本人がもしも死亡した際には身柄を引き取ったり、部屋の退去手続きをして頂く方を言います。
京都大学医学部附属病院の記入例も、ほぼ同じことを書いています。 「退院の際の身柄や荷物の引受けや、患者本人意思決定に能力がなくなった場合に 当院と治療方針の相談を行うことが役割です」。
治療方針の相談で呼ばれるのは、本人が答えられなくなったときです。 自分で受け答えができているあいだは、手術を受けるかどうかを決めるのは本人で、この欄に書いた人ではありません。
入院費を払う責任は、この欄には入っていません。 お金は連帯保証人の欄のほうに分かれています。 だから同じ書式に2つの欄が並んでいます。
年齢や収入の条件は、ほとんどの書式にありません。収入の証明を出す欄もありません。 続柄の条件は、書いている書式と、書いていない書式があります。
五日市記念病院の欄の見出しには「身元引受人(親族・法定代理人・後見人・補佐人の方)」とあります。 法定代理人は、本人に代わって契約する権限を、裁判所か本人から与えられた人。 後見人と補佐人は、判断が難しくなった人のために家庭裁判所が選ぶ人です。 後見人でよいと、紙のほうに書いてあるわけです。
榛名荘病院(群馬県)は「同居されている家族、身近な親族の方」で、もっと狭くなります。 いっぽうで、国立病院機構岩手病院とロイヤルこころの里病院(茨城県)は、成年であることしか書いていません。 書いていない場合は、受付で「親族以外でもよいですか」と聞けば決まります。
いま後見人がいない方は、付けるまでに数か月かかります。 専門職が選ばれると、毎月2万円ほどの報酬が本人の財産から出ます。 誰が選ばれるか、いくらかかるかは身元引受人がいないときにまとめています。
五日市記念病院の注は、親族の範囲まで書いています。 親族なら頼めるので、ふだん会わないいとこでも欄は埋まります。
広島中央リハビリテーション病院は、引き受けた人が来られなくなったときの決まりも置いています。 身元引受人が委任状を渡した相手だけが、代わりに来られます。 患者側の親族の同意が要るので、同意を取れる親族がいないときは、この方法が使えません。
病院がこの欄を求める理由と、頼める家族がいないときにできることは入院の保証人がいないにまとめています。
「保証人問題はどうしたら良いのでしょうか?」
連帯保証人の欄は、頼む相手に書いてもらいます。上限の金額と期間も付きます
署名は、頼まれた人が自分でする決まりです。 富士温泉病院は「必ず御本人が御記入下さい」、 広島中央リハビリテーション病院は「連帯保証人欄は必ず自署・捺印をお願いします」。
韮崎市立病院(山梨県)は、そのうえで本人確認の書類の提示まで求めています。 マイナンバーカード、運転免許証、住民票、健康保険証、印鑑証明書のどれかです。 来てもらうか、先に書いてもらう段取りが要ります。
押印が要るかどうかは、自署かどうかで決まる書式が多くあります。 国立病院機構岩手病院と安来市立病院は、どちらも 「本人が自署する場合は押印は不要です。但し、それ以外の場合は氏名の右横に押印が必要となります」としています。
この欄には金額が付いています。極度額といって、署名した人が払うことになる上限です。 印刷されている額でいちばん多いのは100万円です。幅は30万円から300万円まであります。
額が入っていない書式に当たることがあります。 空いていたら、頼む相手に渡す前に受付で入れてもらいます。 金額の欄が空いたまま署名しても、その保証は成り立ちません。だから病院も、金額を入れずには受け取りません。
国立病院機構岩手病院は、期間まで欄にしています。「保証する入院期間(入院日から2年間)」です。 韮崎市立病院は「入院ごと」と書いていて、退院してまた入院すると数え直しになります。
同じ人が両方の欄を書いてよいかと、頼める人が1人もいないときに病院が用意している方法 (クレジットカード・保証料・保証金)は、身元引受人と連帯保証人は同じ人でよいかで出しています。
頼まれた人が何を引き受けるのかは、書式にこう書かれています。 韮崎市立病院の重要事項説明書です。
連帯保証人になれば、上記の極度額の範囲で、患者様の入院費用について支払義務を負うことになります。 緊急連絡先とも保証人とも全く異なり催告の抗弁権・検索の抗弁権が無く、極めて大きな法的責任が生じます。
上限の金額の範囲で、という条件が付いています。極度額として印刷されている額が天井になります。 催告の抗弁権と検索の抗弁権は、連帯保証人には使えない言い分のことです。 病院から請求されたときに、先に患者本人へ請求してほしいとも、 先に患者本人の財産を調べてほしいとも言えません。
この紙を人に渡すのがためらわれるときは、民間の身元保証会社に頼む方法があります。
身元保証会社に頼むと、その会社の名前と連絡先が欄に入ります。 はじめに出るお金は、保証人の欄までを頼むなら40万円ほど、葬儀や納骨まで頼むと150万円ほど。 これとは別に、毎月の会費が3,000円から1万円ほどかかります。 年齢が上がると会費も上がる会社があるので、いまの額のままで続くとは限りません。
断られる線は、はじめに出るこのお金を用意できるかどうかです。金額の線は会社ごとに違います。 分割や積み立てにできる会社もあるので、面談で聞くことになります。 何を引き受けて、いくらかかるかは身元保証サービスとはで並べています。
緊急連絡先の欄は、これとは別のものです。 韮崎市立病院は、連帯保証人の欄とは別に緊急連絡先の欄を置いています。 緊急連絡先に書いた人には、容体が変わったときや退院が決まったときに病院から電話がかかります。お金の請求や、身柄の引き取りを頼まれることはありません。その分、引き受けてもらいやすくなります。
「入院中の連絡を誰かにしなければとわ思ってます」
誓約書の本文は、退院の指示に従うことと、延滞の利率です
名前を書く欄の上に、番号の付いた箇条書きが並んでいます。 署名すると、この本文にも同意したことになります。
入院のときに渡される紙の名前は病院ごとに違いますが、どの名前でも、見るところは同じです。
お金のことは、たいてい最後のほうに置かれています。 富士温泉病院の入院申込み兼誓約書は6項目で、6つめが延滞したときの利率で、年12%です。
利率の上限は法律で年14.6%までと決まっていて、12%はその中に収まっています。 利率が印刷されていない書式のほうが多く、その場合は入院の案内に載っています。
五日市記念病院は、利率のかわりにその先を書いています。 「医療費及びその他の諸費用は、指定の期日内に支払います。 未払い金が生じた場合は、法的手続き等へ移行される事を了承します」。 払えそうにないときは、そうなる前に相談窓口で分割や高額療養費の話ができます。

退院についての条項も、多くの書式に入っています。 富士温泉病院の1項目めは 「医師より退院の指示があった場合は、不服申し立てはせず指示通りに従います」。 天草市立牛深市民病院は 「診察、手術、分娩等について一切をお任せする」という書き方をしています。
治すところまで居させてほしい、という約束にはなっていません。退院の話が出たときに相談する先は、病院の中の相談窓口です。 相談窓口では、退院後に行ける介護施設や、自宅に戻るときのサービスを一緒に探してもらえます。 入院の前でも、入院してからでも相談できます。
よく聞かれること
保証人の欄を空けたまま出してもいいですか
空けたまま出せます。ただし、受け取ったあとで受付から連絡が来て、代わりの方法を決める話になります。先に伝えておくなら、その紙を持って病院の中の相談窓口へ行くと、欄ごとに何ができるかを一緒に見てもらえます。医療ソーシャルワーカーという職員がいて、受付で「医療ソーシャルワーカーの方に相談したい」と言えば通じます。予約制にしている病院が多いので、代表番号に電話して都合を確かめてから行くと確実です。
民間の身元保証会社に、連帯保証人の欄を書いてもらえますか
書いてもらえます。ただし、はじめに40万円ほどかかります。その前に、病院が保証会社を案内していることがあります。韮崎市立病院は、入院申込書の中に「連帯保証人不要サービス」の申し込み欄を置いていて、保証料は5,000円です。保証してもらえるのは入院費50万円まで、期間は3か月。50万円を超えたぶんは、本人が払います。入院が3か月より長くなったときは、もう一度5,000円を払って続けます。この5,000円は退院時の入院費には充てられず、戻りません。同じ方法が自分の行く病院で使えるかどうかは、受付で「連帯保証人の代わりになる保証の仕組みはありますか」と聞いてみてください。
連帯保証人は、同居している家族でもいいですか
別の世帯であることを条件にしている病院が多くあります。京都大学医学部附属病院は「配偶者は不可」と書いていて、記入例に理由まで載せています。「配偶者には日常の家事に関する債務(医療費を含む)に連帯責任がありますので、連帯保証人は別の方でお願いします」。配偶者はもともと医療費の責任を負っているので、保証を重ねても増えないという意味です。同じ書式に「患者が未成年の場合は、両親以外でお願いします」とも書かれています。
印鑑はシャチハタでもいいですか
連帯保証人の欄については、韮崎市立病院が「スタンプ印(シャチハタ等)不可」と書いています。印鑑証明書を出す場合は実印での押印を求めています。一方で、本人が自署していれば押印そのものが要らない書式もあります。国立病院機構岩手病院と安来市立病院がそうです。氏名の欄の横に「㊞」が印刷されているかどうかで分かれます。
誰にも頼めないまま入院の日が来たら、どうなりますか
その日は、患者本人の欄だけ書いて出す形になります。受付で「保証人を頼める人がいません」と伝えると、その病院のやり方に沿って話が進みます。クレジットカードの登録で連帯保証人が要らなくなる病院、保証料5,000円の保証会社を案内する病院、保証金10万円を預かる病院があります。どれも入院の当日に決められるので、手術や入院の日はそのまま進みます。落ち着いてから次を考えるなら、市区町村の高齢者の相談窓口(地域包括支援センター)が行き先です。次の入院や介護施設の入居に向けて、何を先に決めておくかを一緒に整理してもらえます。



施設の身元引受人
死後事務委任契約
孤独死を防ぐ見守り
認知症と口座の凍結
高齢で賃貸を断られたら
老後の持ち家
遺言書の書き方
葬儀と、継ぐ人がいないお墓
保証人代行と身元保証会社