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入院で「保証人が必要」と言われた

2026年8月6日時点の情報です。

「保証人がいないから」を理由に病院が入院を断ることは、国の通知で認められていません。身寄りのない患者にどう対応するかの手順書も、国から病院向けに示されています。

病院の窓口は「保証人を書けない人」に日常的に対応しています。あなたが初めてのケースではありません。

病院は、何のために保証人を求めている?

  • ①入院費が払われること
  • ②容体が変わったときの連絡先
  • ③亡くなったときの対応

3つとも、家族がいなくても用意する方法があります。

まず、どうすれば?

病院の相談窓口(医療ソーシャルワーカー)に相談できます。ケアマネジャーや地域包括支援センター(高齢者の無料相談窓口)とつながりがある方は、先にそちらに電話する方法もあります。

入院までに、大きなお金が要る?

多くの場合、要りません。病院との相談で済むときは、入院保証金(5〜10万円ほどが多く、退院時の入院費にあてられます)の範囲です。数十万円かかる民間サービスの契約は「これからの備え」の話で、入院の前に急いで決めることではありません。

保証人の欄が求めるものと、その代わりになる方法

「保証人」という言葉は重く聞こえますが、病院が確認したいのは次の3つです。どれも、家族に頼まずに用意できます。

その1 入院費の支払いは、前払いや保証金で代えられます

保証金は5〜10万円ほどが多く、支払うのは入院手続きのときです。退院時の入院費にあてられ、残れば戻ります。取らない病院もあります。

入院保証金の流れ。入院のときに5〜10万円ほどを病院に預け、退院のときに入院費の支払いに充てられ、残ったお金は戻ってくる

ほかに、クレジットカードの登録で保証人が不要になる病院や、月数千円の保証会社を案内してくれる病院もあります。支払い方法や、すぐに用意が難しい場合の相談も、病院の相談窓口でできます。

その2 緊急時の連絡先は、病院の相談窓口で相談できます

連絡先の欄も含めて、病院の相談窓口で相談できます。なお、ケアマネジャーは緊急連絡先や保証人にはなれません。

長い目でどう用意するかの相談先は地域包括支援センターです。「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索するか、市役所の代表電話で「高齢者の相談窓口へ」と言えばつながります。

その3 亡くなったあとの対応は、死後事務委任で備えられます

死後事務委任は、亡くなったあとの手続きを生前に頼んでおく契約です。

引き取る人がいない場合も、最終的には自治体が火葬を行う決まりがあります。死後事務委任で決められるのは、葬儀や納骨などを自分の望む形にすることです。今回の入院で今すぐ要る契約ではありません。

病院の相談窓口

行き先は、いま入院の話が出ている病院の中にある相談窓口です。医療ソーシャルワーカーという職員がいて、受付で「医療ソーシャルワーカーの方に相談したい」と言えば通じます。この部署の名前は病院によって、医療相談室・地域連携室・患者支援センターなどと違います。相談員のいない小さな病院では、事務の責任者が同じ相談を受けます。

病院へ行くのは入院の当日でなくてよく、入院説明の日や外来で行く日に寄れます。予約制にしている病院も多いので、先に代表番号に電話して都合を確かめておくと確実です。病院まで行かずに電話で相談したいときも、代表番号に掛けて「入院についての相談で、医療ソーシャルワーカーの方をお願いします」と言えばつながります。

入院が決まってから当日までの流れ。書類を渡される、代表番号に電話して相談を予約、入院説明の日や外来の日に書類は空欄のまま相談窓口へ、入院当日

保証人の欄は、空欄のまま持って行って、この相談窓口で相談できます。東京都も患者向けの案内で「身元保証人等を立てることが困難な場合は、医療機関にその旨を伝えて相談してみましょう」としていて、神奈川県の病院団体の調査でも、保証人がいなくても入院を認めるよう努めている病院が大多数でした。疎遠な親族の名前を、本人に頼まずに書く必要はありません。

入院申込書の再現図。患者本人の欄だけ記入し、身元引受人と連帯保証人の欄は空欄のまま病院の相談窓口で相談できます

相談員は、前払い・保証金・書類の書き方など、病院ごとのやり方を知っています。事情を詳しく話せなくても、保証人を頼める家族がいないことが伝われば、そこから先は相談員が進めます。

ひとりで病院の相談窓口に行きにくいときは、ケアマネジャーか地域包括支援センターに同行や電話を頼めます。地域包括支援センターは高齢者のための無料の総合相談窓口で、どの市区町村にもあり、「お住まいの市区町村名+地域包括支援センター」で検索すると連絡先が出てきます。

「断られたらどうしよう」と思ったら

保証人を求められるのは、あなたの事情が特別だからではありません。関東の行政調査では、9割以上の病院が入院のときに保証人を求めていました。病院側にも、支払いと緊急連絡に不安を残したくないという事情があります。

一方で、保証人がいないことだけを理由に診療を断ることは認められていません。国の通知ではっきりしています。断られても、それで終わりではありません。実際の相談は、保証人の3つの役割の代わりをどう用意するかを、相談員と一緒に決めていく形で進みます。

よくある心配ごと

手術の同意書は、家族がいないと書けない?

手術の同意書は、本人が書く欄と、家族が書く欄に分かれている書式がよくあります。親やきょうだいの手術でサインした経験があると、「自分のときは、家族の欄に書いてくれる人がいない」が心配になりますが、家族の欄は空欄のままで、手術は受けられます。

多くの様式で、家族の欄は「本人が署名できない場合」のための欄です。判断がはっきりしているあいだは、本人の欄へのあなたのサインで同意は成立します。家族の欄が空欄になることは、病院の相談窓口に伝えれば、そのまま手続きが進みます。

手術同意書の再現図。患者本人の署名欄に自分で書き、家族(代諾者)の欄は本人が署名できるなら空欄のままでよい

麻酔中や救急で、意識がないときは?

本人が意思を示せないときにどうするかは、病院向けの国の手順書(2019年)に定められています。家族がいない場合は、医療チームが本人にとって最善の方針をとることが基本です。同意する家族がいないことを理由に、治療を断られることはありません。

元気なうちにできる備えとしては、治療の希望を書面にしておく方法があり、病院の相談窓口で「事前指示書について聞きたい」と言えば通じます。市区町村によっては、持病や連絡先を家に備えておく「救急医療情報キット」の配布もあります。

疎遠な親族に、病院から連絡が行くことはある?

日常の連絡は、あなたが書いた連絡先にだけ行きます。あなたが書いていない親族を、病院が普段の用件のために探して連絡することは基本ありません。

ただし、意識不明や亡くなったときに連絡先がどこにもない場合は、病院や自治体が戸籍などから親族を探すことがあります。それも避けたい事情があるなら、病院の相談窓口の相談員にその事情を伝えたうえで、緊急連絡先を契約で用意する方法もあります。

病院の窓口で「後見人はいますか」と聞かれた

成年後見は、判断能力が下がったあとにお金や契約を守る制度で、入院の保証人とは別のものです。いま判断がはっきりしているなら、この質問のために後見人を用意する必要はありません。「後見人はいませんが、保証人の役割は別の方法で用意します」と答えれば足ります。

保証金が支払えないときは?

その事情ごと、病院の相談窓口に伝えてみてください。分割や後日の支払いに応じる病院や、保証金自体を取らない病院もあります。

保証金だけでなく入院費そのものが心配な場合も、担当は同じ、病院の相談窓口です。自己負担に上限を設ける公的制度(高額療養費)があり、「限度額適用認定証の手続きをしたい」と言えば通じます。

マイナ保険証で受付する場合は、原則この手続きなしで上限までの支払いで済みます。差額ベッド代・食事代・日用品は上限の対象外です。

収入が少なく支払いが難しい場合は、無料または低額で診療を行う病院(無料低額診療事業)や、生活保護の医療扶助という道もあります。相談先は病院の相談員か、市区町村の福祉窓口です。

これからに備える、3つの方法

今回を乗り切ったあと、次の入院や施設入所にどう備えるか。大きく3つです。ここに出てくる費用は「これからの備え」のためのもので、今回の入院に要るお金ではありません。

その都度、病院と相談する

0〜10万円

契約金はなし。入院保証金(5〜10万円ほど・退院時に精算)が要る場合あり

今回と同じ相談を、入院のたびにすることになります。自分で話せるうちは成り立ちますが、意識がないときや亡くなったあとには使えない方法です。

社会福祉協議会などの事業

無料〜低額

地域によって中身が違います

「日常生活自立支援事業」といって、通帳や証書の預かり、支払いの手伝いを頼めます。保証人そのものにはなりません。中身は地域ごとに違うので、お住まいの市区町村の社会福祉協議会への電話が確認の早道です。

民間の身元保証サービス

30万〜70万円

各社が公開している料金を集計した「身元保証」部分の目安。別に入会金や預け金がかかる会社が多く、契約時の総額はもっと大きくなります

保証人・緊急連絡先を契約で引き受けます。幅があるのは、緊急対応や生活支援など含まれる範囲が会社ごとに違うためです。含まれる範囲といくらかかるかは、契約の前に書面で確かめてみてください。

このページの要点

出典

  • ・厚生労働省 医政局医事課通知(平成30年4月・医政医発0427第2号)
  • ・厚生労働省 応招義務に関する通知(令和元年12月)
  • ・総務省「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査」(令和5年8月)
  • ・神奈川県病院協会「県内の病院における身元保証人等の状況」調査
  • ・墓地、埋葬等に関する法律 第9条