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老後の持ち家をどうするか。リバースモーゲージとリースバックの違い

2026年8月17日時点の情報です。

ひとりで住んでいる家には、2つの場面で判断が要ります。介護施設に入るなどして住めなくなったときと、住み続けたいけれどお金が足りないときです。どちらも、判断できるうちにしか決められません。

住宅ローンが残っているなら、2つの数字を先に出します

残高と、いま売ったらいくらになるか。この2つの差で、選べる道が決まります。

売った値段でローンを返しきれるなら、売ることもできますし、家を担保にしてお金を借りることもできます。返しきれないと、銀行の抵当権を外せないので売れません。残った分をどう返すかを銀行と決めてからになります。

あわせて、団体信用生命保険に入っているかを確かめてみてください。住宅ローンを借りるときに一緒に入る保険で、入っていれば、亡くなった時点で残りのローンは保険で払われて消えます。借りている銀行に聞けば分かりますし、返済予定表にも書いてあります。

なお住宅ローンは、自分がそこに住むことが条件になっています。介護施設に入って住まなくなる場合は、銀行への届け出が要ることがあります。

住めなくなったとき ── 空けておく、貸す、売る

空けておく ── 固定資産税が最大6倍になることがあります

空けておくこと自体は自由です。ただし固定資産税、火災保険、水道と電気の基本料金は続きます。

そのうえ、草木が伸びて外壁が傷んだ状態が続くと、市区町村から通知が来ることがあります。勧告まで進むと、家が建っている土地の税の割引がなくなります。6分の1に軽くなっていたものが元に戻るので、固定資産税が最大で6倍になります。

建物を壊しても、同じ割引はなくなります。更地にすれば済む話ではありません。空けておくなら、空き家の管理を引き受ける会社に、草刈りや風通しを頼むことになります。

貸す ── 家賃は入りますが、判断できなくなると続けられません

借りる人との契約更新や、雨漏りしたときの修繕を、その都度こちらが決めることになります。介護施設に入ってからも続きます。

判断できなくなると、家賃は入り続けるのに、その口座からお金を出せなくなります。雨漏りを直すことも、借りている人が出ていったあとに次の人を探すこともできません。管理を不動産会社に任せていても、直すかどうかを決めるのは持ち主です。

売る ── 売れるのは判断できるうちだけです

介護施設の費用に充てるなら、売るのがいちばん単純です。ただし売買の場では、司法書士が本人に会って売る意思があるかを確かめます。そこで受け答えができないと登記が通らず、決済ができません。認知症が進んでからでは売れなくなります。

介護施設に入る時点で判断できていれば売れます。間に合わなくなるのは、入ってしばらく経ってからです。

任意後見の代理権目録に不動産の売却を入れておくか、家族信託で預けておけば、判断できなくなったあとでも売れます。どちらも、判断できるうちにしか契約できません。どういう契約で、いくらかかるかは認知症で口座が凍結される前ににまとめています。

住み続けたいが、お金が足りないとき

家を現金に換えながら住み続ける形が2つあります。家の名義が自分に残るかどうかで分かれます。

担保にして借りる売って借りて住む
家の名義自分のまま買った会社に移る
受け取る額土地の評価額の5〜7割まで市場で売る値段の6〜8割
毎月払うもの利息だけ家賃
亡くなったあと家を売って元金を返すすでに他人の家なので、家は残らない

担保にして借りる ── 相続人の同意を求められることがあります

住んだまま借りて、亡くなったあとに家を売って返す形です。毎月払うのは利息だけで、元金は最後にまとめて返します。

銀行のものは、推定相続人の同意を求めるものが多くあります。亡くなったあとに家を売ることになるので、相続人に話を通しておく前提です。同意を求めない商品もあるので、申し込む前に、同意が要るかどうかを確かめてみてください。

住宅ローンが残っている場合は、そのままでは担保を重ねられません。ただし、借りたお金でいまのローンを返して切り替える道があります。リ・バース60という名前で、複数の銀行が扱っています。

満60歳以上が対象で、毎月払うのは利息だけです。元金を家の売却で返しきれなくても、足りない分を相続人に請求しない型を選べます。相続人がいない方は、こちらにしておくと後始末が簡単です。

市区町村の社会福祉協議会にも同じ仕組みがあります

1

借りられる額

土地の評価額の7割まで。1か月あたり30万円以内で、3か月分ずつまとめて受け取ります。

2

対象になる家

土地の評価額がおおむね1,500万円以上の一戸建て。マンションは対象になりません。抵当権が付いていないことも条件です。

3

連帯保証人

推定相続人の中から1人立てるのが原則です。相続人がいない場合は相談することになっています。

4

生活保護を受ける手前の場合

要保護世帯向けという別の枠があり、そちらは連帯保証人が要りません。

売って借りて住む ── まとまった額が入るかわりに、家賃がかかります

家を売って、その家を借りて住み続ける形です。名義は買った会社に移ります。売った代金はまとまって入りますが、市場で売る場合の6割から8割ほどになります。

そのうえ家賃がかかります。目安は、買ってもらった値段の1割が1年分。1,500万円で売った場合、年150万円で、月にすると12万円ほどです。

長く住むほど差が積み上がります。手元にまとまったお金が要る、でもこの家を離れたくない、という場合の手です。介護施設に入るまでの数年、という使い方になります。

亡くなったあと、家は誰のものになるか

相続人が一人もいない場合、家は最後に国のものになります。ただし自動ではなく、誰かが家庭裁判所に申し立てないと、空き家のまま何年も置かれます。渡したい相手がいるなら遺言を書いておくことになります。売って現金にしてから渡す、という書き方もできます。

誰に渡すかを決めておく方法は遺言書の書き方にまとめています。

よく聞かれること

いま売ったらいくらになるか、どうやって調べますか

不動産会社に査定を頼めば無料で出してもらえます。1社だけだと高めにも低めにも振れるので、3社ほどに頼んで比べる方が多いところです。売るつもりが固まっていない段階で頼んでも大丈夫です。あわせて、市区町村から届く固定資産税の通知に書かれている評価額も見ておくと、土地の目安が分かります。

介護施設へ移ったあとに売るときは、誰が売買の手続きをしますか

判断できるうちなら、自分で進められます。外出が難しい場合は、司法書士に委任状を渡して代わりに行ってもらう形が使えます。判断できなくなったあとは、任意後見人か成年後見人が売ることになります。成年後見の場合、住んでいた家を売るには家庭裁判所の許可が要ります。

家財の片づけはどうなりますか

売る場合も貸す場合も、中を空にしてから引き渡します。片づけを引き受ける会社に頼むと、一戸建てで20万〜60万円ほどが目安です。亡くなったあとに片づけてもらう場合は、死後事務を頼む契約に入れておきます。何を頼めて、いくらかかるかは死後事務委任契約にまとめています。

空き家のまま置いておくと、いくらかかりますか

固定資産税と火災保険、水道と電気の基本料金で年に10万〜20万円ほど。これに草刈りや換気を頼むと、月5千円から1万円ほどが加わります。勧告を受けて税の割引がなくなると、固定資産税の部分が最大6倍になります。

出典

  • ・空家等対策の推進に関する特別措置法(管理不全空家等・特定空家等の勧告と住宅用地特例)
  • ・全国の社会福祉協議会が公開している不動産担保型生活資金の案内(貸付限度、対象となる不動産、連帯保証人)
  • ・住宅金融支援機構【リ・バース60】および取扱金融機関が公開している商品概要
  • ・リースバックを扱う事業者が公開している買取価格と家賃の目安
  • ・民法 第951条〜第959条(相続人の不存在)