空き家の固定資産税は6倍になるのか。上がるのは勧告を受けたときで、最大4.2倍です
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家を空けただけでは上がりません。上がるのは、市区町村から勧告を受けたあとか、 屋根が落ちて雨が入るほど傷んで、住宅として扱われなくなったときです。上がり幅も6倍ではなく、最大4.2倍です。
勧告は、いきなり来るものでもありません。手前に助言と指導があり、そこで直せば進みません。
家をどうするかは、持ち続ける・貸す・売るの3つです。 かかるお金と、そのあと自分で決め続けることになるものが、それぞれ違います。
上がるのは6倍ではなく、4.2倍までです
家が建っている土地には、税を安くする割引がかかっています。 税額を計算するもとになる額が、200平方メートル(㎡)までの部分は6分の1、 それを超える部分は3分の1になります。 この計算のもとになる額を、課税標準額といいます。 6倍というのは、この6分の1が外れる話です。
ただし、割引が外れたあとの課税標準額には上限があって、評価額の7割までです。 6分の1は評価額の約17%なので、17%が70%まで上がると、70÷17でおよそ4.2。 つまり土地の固定資産税は、上がっても4.2倍までです。 建物にかかる分は変わりません。
| 土地の広さ | 割引が外れると |
|---|---|
| 200㎡まで | 6分の1が外れて、最大4.2倍 |
| 200㎡を超える分 | 3分の1が外れて、最大2.1倍 |
200㎡は約60坪です。自分の土地の広さは、毎年4月か5月に届く納税通知書に 同封されてくる課税明細書の、地積の欄に書いてあります。
60坪より狭ければ、土地の全体が6分の1です。広い場合は、60坪までと、そこを超える分に分かれます。 たとえば90坪なら、60坪分は6分の1、残りの30坪分は3分の1。 割引が外れたときは、前の部分が4.2倍、後ろの部分が2.1倍になります。 土地全体では、その2つを足した額です。
同じ割引は都市計画税にもかかっていて、こちらは200㎡までが3分の1、 超える部分が3分の2。納税通知書に固定資産税と並んで書いてあります。 こちらも同じときに外れますが、3分の1から7割なので2.1倍です。
4.2倍は、固定資産税だけの話です。 都市計画税もかかっている土地では、2つ合わせた支払いが3.6倍ほどになります。 固定資産税を1.4%、都市計画税を0.3%で課している市区町村が多く、その割合で計算した数字です。
納税通知書に都市計画税の欄がなければ、上がるのは固定資産税だけなので、最大4.2倍です。
いくら増えるかは、いまの納税通知書で見当がつきます。 土地の分(固定資産税と都市計画税を足した額)を3.6倍して、いまの額を引いた分が増える計算です。
手入れをしていれば、空き家でも上がりません
割引が外れるかどうかは、人が住んでいるかでは決まりません。見られるのは家の状態です。 草を刈り、木を切り、ときどき風を通していれば、空き家のままでも割引は続きます。
いま人が住んでいる家は、そもそも勧告の対象になりません。空き家について定めた法律が扱うのは、人が住んでいない家だけです。
上がるのは、市区町村から勧告を受けたあとです。 勧告は書面で届きます。受けた翌年の1月1日時点の状況で判定され、その年の課税から上がります。 家が空いた時点ではありません。
傷んだ状態を放っておくと、まず助言や指導が来ます。それでも直さないと勧告です。 直せば戻ります。勧告が取り消されれば、翌年から割引も戻ります。
どんな状態だと、勧告まで進むのか
勧告の対象になるのは、放っておくと危ない家です。決まりでは4つの状態が挙げられています。 倒れるおそれがある。ごみや害虫で衛生上ひどく悪い。景観をひどく損なっている。 そのほか、周りの人の暮らしに差し支える。たとえば外壁や屋根が落ちて通行人に当たりそうな状態です。
2023年12月の改正で、その手前の段階も対象に入りました。 いまはまだ倒れる状態ではないが、放っておくとそうなる家です。 この段階でも、勧告を受ければ割引は外れます。
勧告は、8年弱で全国3,078件です
勧告を受けた家の数です。2015年5月から2023年3月までの累計で、 そのうち命令まで進んだのは382件でした。
全国の空き家は約900万戸あります。手入れをやめた家がすべて勧告を受けているわけではありません。 ほとんどは助言や指導の段階で直っています。
ただし、指導や勧告が来ないとは言い切れません。近所から市区町村に連絡が入り、そこから始まることもあります。 隣の家に木の枝が伸びている、外壁がはがれて落ちてきそうだ、といった連絡です。

手入れをやめると、勧告がなくても外れることがあります
割引は、住宅が建っている土地に付くものです。 屋根が落ちて雨が入っている、窓が割れたままといった家で、建物が住宅として扱われなくなれば、 勧告がなくても外れます。市区町村が建物の状態を見て判断します。
住宅として扱われなくなるのは、3つの場合です。 建物が構造として住宅と認められない状態になっているとき。 使う見込みがなく、そのうえ取り壊すことが決まっているとき。使う見込みがないだけでは当たりません。 そして、住むために必要な手入れを怠っていて、今後も人が住む見込みがないと認められるときです。
3つ目は、勧告を受けていなくても当てはまります。 ただし「人が住む見込みがない」とだけで決まるわけではありません。 手入れを怠って傷んだ状態が続いていることが前提です。 跡継ぎがいないことだけを理由に外されることはありません。
建物を壊して更地にした場合も、同じように外れます。 住宅が建っている土地に付く割引なので、住宅がなくなれば消えます。 壊すと建物にかかっていた分はなくなりますが、土地の分が上がるので、合計では増えます。
家が空くときに、しておくこと
通知の届け先を変えます
助言も指導も勧告も、書面で所有者に届きます。届け先は、市区町村が把握している住所です。 住まいを移したことを届けていなければ、空いている家に届きます。 届け先を変えておけば、助言や指導の段階で気づけます。そこで手を打てば勧告まで進みません。
伝える先は2つあります。ひとつは税の担当です。市区町村の代表番号にかけて 「固定資産税の納税通知書の送り先を変えたい」と言えば、送付先変更届という用紙を送ってもらえます。 書いて返送すれば済むので、市区町村へ出向く必要はありません。 課の名前は資産税課・税務課・課税課など、市区町村で違います。
もうひとつが空き家の担当です。こちらも建築指導課・住宅課・生活環境課など名前が違います。 指導や勧告の通知を出すのはこちらなので、両方に届けておかないと、片方だけ古い住所のまま残ります。
空き家の担当にも、代表番号にかけて「〇〇町の家に住んでいる者です。 介護施設に移るので家が空きます。通知の届け先を変えたい」と伝えてみてください。 届け出の用紙が要るか、電話で伝えるだけで済むかは市区町村で違うので、そこで聞いてみてください。 どちらも連絡先を登録するだけの手続きで、家を見に来てもらう話ではありません。
家の手入れは、月5千円から頼めます
指導が来る原因のほとんどは、草木と傷みです。どちらも人が定期的に手を入れれば防げます。 自分では行けないなら、空き家の管理を引き受ける会社に頼めます。
「お金で解決できるのであれば教えていただきたいです。」
月5千円から1万円ほどが目安です。月に1回、外を見回って草を刈り、窓を開けて風を通します。 何を頼めて月いくらかは空き家の管理サービスに一覧があります。
管理を頼むと、年に6万円から12万円です。税が3.6倍になったときの増え方と並べて、どちらが大きいかで決めます。 土地の税額が年8万円なら、3.6倍で年29万円ほど。21万円ほど増える計算です。
保険会社に、住まなくなることを伝えます
人が住まなくなった家は、火災保険の上で扱いが変わります。 住んでいる家に掛ける保険から、住んでいない建物に掛ける保険に切り替わり、保険料は2倍ほどになります。
住まなくなったことを伝えていないと、火事のときに保険金が出ないことがあります。 住まなくなることが決まったら、保険会社に伝えておいてください。 月に一度でも戻って泊まる家なら、そう伝えれば、住んでいる家に掛ける保険のまま続けられる場合があります。
売るなら、期限が2つあります
家を売ってもうけが出ると、その分に所得税と住民税がかかります。譲渡所得税といいます。 ただし住んでいた家なら、もうけから3,000万円を引ける仕組みがあります。 もうけは、売った値段から、買ったときの値段と売るのにかかった費用を引いた額です。 昔からの家で買ったときの値段が分からないときは、売った値段の5%として計算します。 建物に値が付かない古い家でも、もうけは大きく出ます。
この3,000万円を引けるのは、住まなくなった年から数えて3年あとの12月31日までです。2026年の春に家を出たなら、2029年の年末まで。その期限を過ぎると使えません。
壊してから土地を売る場合は、条件が2つ増えます。 壊した日から1年以内に売る契約をすること。そのあいだ、土地を駐車場などに貸さないこと。 更地にしてから買い手を探して1年を超えると、この3,000万円は使えなくなります。
国税庁No.3302 マイホームを売ったときの特例3,000万円を引ける条件と、当てはまらない場合が並んでいます。申告に使う書類も載っています。もうひとつの期限は、年で区切られたものではありません。 売買のときには、司法書士が本人に会って、売る意思があるかを確かめます。 そこで受け答えができないと登記が通らず、代金の受け渡しもできません。 認知症が進んでからでは売れなくなります。
介護施設に入る時点で受け答えができていれば売れます。間に合わなくなるのは、入ったあとに症状が進んでからです。 判断できなくなったあとでも売れるようにしておく方法は認知症と口座の凍結にまとめています。任意後見も家族信託も、判断できるうちにしか契約できません。
空き家のまま持つか、貸すか、売るか
空き家のまま持つと、まず固定資産税がかかります。土地の税額が年8万円の家なら、そのままの8万円です。 これに火災保険と、水道と電気の基本料金が乗って、合わせて年10万円から20万円。 さらに見回りを頼むと年6万円から12万円で、合計は年16万円から32万円ほどです。
固定資産税のところを自分の納税通知書の額に置き換えれば、うちの数字になります。 この合計に、住まなくなってからの年数を掛ければ、そこまでに出ていく額が出ます。 売った場合に手元に残る額と並べると、どちらが大きいかが見えます。
| 選び方 | お金と、続けるのに要ること |
|---|---|
| 持ち続ける | 年16万〜32万円が出ていく。手入れを頼めば勧告は来ない |
| 貸す | 家賃が入り、割引も続く。契約更新と修繕を、そのつど自分で決める |
| 売る | 税も保険も見回り代も、そこで終わる。判断できるうちにしか売れない |
介護施設に入るなら、この年16万円から32万円が、入居先に払う額に上乗せされます。
この3つのどれにするかを、まだ誰にも相談していない人もいます。
「今のところは、必要がないので相談していない。」
いくらで貸せるか、そもそも借り手が付くかは、家の場所と傷み具合によります。 売値の査定と一緒に、貸した場合の家賃の見込みも、不動産会社に聞いてみてください。 貸すのも売るのも、判断できるうちは自分で決められますが、そこから先は代わりに決める人が要ります。
売った場合にいくら残るかは、その地域で家を売っている不動産会社の査定で見当がつきます。 無料で出してもらえます。築年数が古い家は建物に値が付かず、土地の値段から解体費を引いた額が目安です。
売らずに住み続けながら現金に換える方法もあります。 家を担保に借りる形と、売ってそのまま借りて住む形の2つです。それぞれの条件は老後の持ち家で説明しています。
どれも選ばずに持ったまま亡くなった場合は、甥や姪も含めて相続人になる人がいれば、その相続人が引き継ぎます。 引き継いだ人が、売るか、貸すか、持ち続けるかを決めることになります。 相続人が一人もいなければ、家庭裁判所に申し立てがあったときだけ、家庭裁判所が選んだ弁護士や司法書士が 売って現金にし、残った分は最後に国のものになります。 申し立てをするのは、お金を貸していた人や、生前に世話をしていた方です。
誰も申し立てなければ、登記の名義は本人のまま残ります。
渡す相手を自分で決めておくなら、遺言という方法があります。世話になった人でも、団体でもかまいません。書き方と、渡す相手の決め方は遺言書の書き方にあります。

よく聞かれること
何年空けたら勧告が来ますか
年数では決まりません。見られるのは状態です。10年空いていても、屋根も塀もそのままで草が伸びていなければ対象になりません。逆に1年でも、割れた窓をそのままにしていれば指導が来ることがあります。
勧告を受けたら、何を直せば取り消されますか
書面に、どこがどう問題かが書かれています。草だけを刈っても、屋根や外壁の指摘は残ります。全部を直したうえで市区町村に連絡し、確かめてもらう流れです。何を直せば足りるかは、書面を持って窓口で聞くのが早いです。
納税通知書のどこを見れば分かりますか
通知書には土地と建物が分けて書いてあります。上がるのは土地の分だけです。同封の課税明細書には、土地の評価額と課税標準額が並んでいます。割引がかかっているうちは、課税標準額が評価額よりずっと小さい数字になっています。この2つが近づくと、割引が外れた状態です。
命令まで進むと、どうなりますか
命令に従わないと、50万円以下の過料がかかります。それでも直らなければ、市区町村が代わりに壊します。その費用は所有者に請求されます。100万円から300万円、大きい家ではそれを超えます。ただし、ここまで進んだ家は全国で180件です。
更地にしてから売るのと、家を残したまま売るのと、どちらがいいですか
壊すと割引が外れるので、売れるまでのあいだ税が上がります。買い手が古い家を壊す前提で探すなら、残したまま売るほうが持ち出しは少なくなります。壊してから売る場合は、壊した日から1年以内に契約する必要があります。
水道と電気は止めてもいいですか
電気は止めても差し支えありませんが、水道は残しておくほうが無難です。止めると排水口の水がなくなり、下水のにおいが上がってきます。風を通しに行った人が窓を開けられません。管理を頼む場合も、通水が作業に入っていることがあります。冬に凍る地域では、水道を残したまま水抜きをしておく形になります。









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