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お金がないときの死後事務。火葬までは市区町村がしますが、葬儀はありません

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死後事務というのは、亡くなったあとの、火葬・葬儀・お墓・部屋の片づけ・役所への届け出のことです。何も頼んでいなくても、市区町村が火葬を行います。ただし葬儀は行われず、遺骨は無縁塚に入ります。 葬儀を行い、決めたお墓に入りたいなら、26万円から100万円ほどを先に用意することになります。 26万円を用意できない場合にできることも、2つあります。

何も頼んでいなくても、火葬まではしてもらえます

遺体を引き取る親族がいないと分かった時点で、亡くなった場所の市区町村が火葬を行います。 墓地、埋葬等に関する法律で決まっていることなので、こちらから頼んでおく必要はありません。 自分の親族や知人が、あとから払わされることはありません。 残したお金があれば、そこから先に火葬の費用が引かれます。 残った分が相続人へ渡り、相続人がいない場合は、最後は国に納められます。

ひとり暮らしの方が自宅で亡くなった場合は、訪ねてきた人や近所の方が気づいて警察に連絡し、 警察から市区町村に伝わります。病院や介護施設で亡くなった場合は、そこから連絡が入ります。 死亡届を出すのは、入院していれば病院、借りている部屋なら大家さんです。 どちらもいない場合は、最後は市区町村が戸籍に死亡を記載します。 届け出がされないまま残ることはありません。

死後事務委任というのは、亡くなったあとの手続きを、生きているあいだに誰かに頼んでおく契約のことです。 身元保証会社に頼むと、100万円を超えることがあります。用意できないと、何も手が打てないように見えます。 頼むかどうかで変わるのは、火葬より先のところです。

この契約そのものについては死後事務委任契約のページにまとめています。

葬儀は行われず、遺骨は無縁塚に入ります

市区町村が行うのは火葬です。お通夜も告別式もありません。 お別れの場は設けられず、火葬場へ運ばれて、そこで終わります。

遺骨は市区町村がしばらく保管し、そのあと身寄りのない方をまとめて納める場所へ移されます。 保管する期間は自治体で違い、5年としているところがいちばん多くなっています。 ほかの方の遺骨と一緒に納められるので、あとから取り出すことはできません。 入りたいお墓を決めていても、そこには入りません。

用意できる額で頼める先が4つに分かれることを、0円から100万円までの目盛りの上に棒の長さで示した図。0円なら市区町村が火葬し葬儀はなく遺骨は無縁塚へ。3万円ほどなら先にお金を預けない契約。26万円なら市が葬儀社との契約を手伝う。50万円からなら社会福祉協議会や民間で、民間は100万円を超えることもある

葬儀を行いたい、入るお墓を決めておきたい、部屋の荷物を誰かに引き取ってほしい。 このどれかを望むなら、生きているあいだに頼んで、その分のお金を用意しておくことになります。 いくら用意できるかで、行き先が4つに分かれます。

生活保護を受けている方は、火葬と納骨までが公費でまかなわれます。 26万円ほどを用意できる方は、市区町村の終活の支援。 50万円を預けられる方は、社会福祉協議会や民間の事務所です。

どれも用意できない方は、市区町村が火葬まではします。いま生前に頼むなら、先にお金を預けない契約を扱う事務所が行き先です。 2027年からは、無料か低額で引き受ける新しい事業も始まります。

部屋の荷物は、大家さんが勝手に片づけることはできません

借りている部屋に残った物は、相続人のものになります。 大家さんの一存で、部屋の鍵を開けて中の物を運び出すことも、契約を終わらせることもできません。 家賃が引き落とされなくなっても同じです。

子どもがいない場合は、親、次に兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなっていれば甥や姪が相続人になります。 本人と行き来がなくても、法律上はそうなります。

相続人がいない、または見つからないときは、大家さんが家庭裁判所に申し立てます。 亡くなった方の財産を整理する役を、家庭裁判所に選んでもらう手続きです。 選ばれたあとも、6か月以上の公告と、さらに2か月以上の公告が要ります。 申し立てる人は、数十万円から100万円ほどを先に納めます。 持ち家の場合も、相続人がいなければ同じです。

部屋が空くまでの長さを2つ並べて比べた図。頼んでいない場合は、相続人を探したうえで6か月以上の公告とさらに2か月、合わせて8か月以上かかり、申し立てる人は数十万円から100万円ほどを先に納める。引き取る人を決めてある場合は、その人がそのまま引き取るので家庭裁判所の手続きが要らない

高齢のひとり暮らしの方が部屋を借りにくいのは、ここが理由のひとつです。 誰が引き取るかを決めた契約があれば、家庭裁判所の手続きを待たずに部屋が空きます。

持ち家の場合は、家そのものも同じ手続きを待つことになります。 相続人がいなければ売ることも人に渡すこともできず、 家庭裁判所の手続きが終わるまで空き家のまま置かれます。 誰に渡すかを決めておけば、家庭裁判所の手続きを待たずに引き渡せます。

ここまでが、何も頼まなかったときに起きることです。 火葬はされます。ただし葬儀はなく、遺骨は選べない場所へ行き、部屋はしばらく空きません。 このどれかを変えたいなら、生きているあいだに頼んでおきます。 次から、いくら用意できるかで何が変わるかを見ていきます。

生活保護を受けている方は、火葬の費用が出ます

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「今、生活保護で市のお世話になっているが、死後も市が後処理をやってくれるのでしょうか?」
愛知県・60代・男性

生活保護から火葬の費用が出ます。葬祭扶助といいます。 葬儀を出す親族がいないとき、または残した預金や現金で火葬の代金をまかなえないときに使われます。

額は住んでいる地域で決まっています。

22万2千円以内。地域によっては19万4千円以内

自分の住んでいるところがどちらかは、市区町村の生活保護の担当課が教えてくれます。

この額でまかなわれるのは、医師による死亡の確認、遺体の運搬、火葬、納骨までです。 お通夜と告別式は、この中に入っていません。 納骨の費用は出ますが、どこに納めるかは選べません。頼んでおかなければ無縁塚です。

社会福祉協議会でも、預けるお金は要ります

市区町村の社会福祉協議会が、亡くなったあとの手続きを引き受けている地域があります。 民間より安く済むと思われがちですが、預けるお金は必要です。 住んでいる市区町村の社会福祉協議会に 「亡くなったあとの手続きを引き受けてもらえますか」と聞いてみてください。

福岡市の社会福祉協議会が出している額は、入会金・年会費・預けるお金の3つに分かれています。

福岡市の社会福祉協議会の場合

1

入るときに払うお金

入会金が1万5千円、年会費が1万円です。

2

預けておくお金

50万円からです。 葬儀と納骨の費用、公共料金の精算に充てられ、そこから手続きを行うための手数料として5万円が引かれます。 部屋に残った家財の片づけ代は、部屋の広さと荷物の量で決まります。ひとり暮らしの部屋で3万円から8万円、荷物が多ければ20万円ほどになることもあります。50万円とは別にかかります。

3

頼めること

預けた50万円で行うのは、葬儀と納骨です。片づけ代は別に要ります。 あわせて、生きているあいだの定期的な電話と訪問による見守りが付きます。

4

使える人

市内に住んでいて、原則70歳以上。子どもがいない、頼れる親族がいない方が対象です。 生活保護を受けている方は対象外です。引き取る方がいない場合は、公正証書の遺言を作ることが条件になります。

預けたお金は、亡くなったあとに実際にかかった分を差し引いて精算されます。 途中でやめたときにいくら戻るかは、契約を結ぶ前に、書面で確認してみてください。

年齢で区切っているのは社会福祉協議会の事業です。 自治体の終活の支援は、年齢ではなく収入や預貯金で決めているところがあります。 司法書士や行政書士の事務所と結ぶ死後事務委任の契約には、年齢の決まりはありません。

50万円を預けられない方の行き先は、市区町村の終活の支援と、 先にお金を預けない契約を扱っている事務所の2つです。

自治体が、葬儀社との契約を手伝っているところがあります

生活保護を受けていない方が、まず当たる先です。 市が間に入って、生きているあいだに葬儀社と契約を結んでおく仕組みです。 エンディングプラン・サポート事業といいます。 神奈川県横須賀市が始めたもので、鎌倉市など、ほかの市にも広がっています。

葬儀社に預ける額は26万円です。入るお墓も、生きているあいだに決めておけます。

葬儀社を選んで契約を結ぶのは本人です。市の役目は3つあります。 協力している葬儀社を教えること。契約の中身をまとめた計画を預かること。 そして亡くなったときに、病院や葬儀社へその計画を伝えることです。 延命治療を望むかどうかを書いた紙も、市と葬儀社の両方が預かります。決まった書き方はなく、自分の言葉で書いたもので足ります。

額は生活保護の基準に納骨の費用を足して決めるので、どの市でも26万円くらいになります。 安く済む市を探す形の仕組みではありません。

収入と資産の条件があります。 横須賀市の場合、ひとり暮らしで頼れる身寄りがないことに加えて、 月収18万円以下、預貯金などが250万円以下、 持っている不動産の固定資産評価額が500万円以下、が目安になっています。

すべての市区町村にあるわけではありません。

火葬まで2日から4日で済む地域が多い一方で、 政令指定都市と東京23区では、9日から14日かかることが多くなります。 先に契約しておくと、この日数が短くなります。 遺体を引き取る親族を探す手間が要らなくなるためです。 待っているあいだ、遺体は保管されたままになります。

先にお金を預けない頼み方があります

26万円も出せない場合にできることが、2つあります。 ひとつは、市区町村の福祉の担当課に「終活の支援をやっていますか」と聞くこと。 もうひとつが、先にお金を預けない契約を扱っている事務所を当たることです。

契約のときに払うのは、死後事務委任の契約書を作る代金だけです。3万円ほどの事務所があります。公正証書にするなら、公証役場の手数料が別にかかります。 葬儀や片づけの代金は、亡くなったあとに残った財産から払います。

「死後事務委任 預託金なし」で検索すると、扱っている事務所が出ます。 電話では「先にお金を預けない形はありますか」と聞いてみてください。

家も預金も残らない見込みなら、先にお金を預けない契約は使えません。 残るのは、市区町村が火葬まではすることと、2027年から始まる無料か低額の事業です。

これから、無料か低額で頼める事業ができます

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「費用負担があるとしても公的機関がおこなう事業がないのか、進行中なのかどうか、民間ではない事業の状況が知りたい」
奈良県・60代・男性

2026年6月に、社会福祉法が変わりました。頼れる身寄りがいない方に、亡くなったあとの手続きの支援を、 無料か低額で行う事業が、社会福祉の事業として位置づけられます。

身元保証会社に頼むと100万円を超えることがあるので、 お金が十分にない方も使える引き受け先が要る、という理由です。

葬儀社と契約するのは自分で、そのやりとりを手伝ってもらえます。 死亡届など市区町村への届け出は、代わりに出してもらえます。 無料か低額になるのは手伝ってもらう部分で、 葬儀社に払うお金そのものは、これまでどおり本人の負担です。 入院の手続きの支援や、ふだんの暮らしの支援も、同じ事業の中に入っています。

始まるのは早くて2027年4月、遅くとも2028年6月までです。 どの部分がいつになるかは、これから国が決めます。 始まったら、市区町村の福祉の担当課か社会福祉協議会が受け付けます。

よく聞かれること

先に大きな額を払って、あとで生活が苦しくなったらどうなりますか

預けたお金を返してほしいと申し出ることになりますが、契約の内容によっては全額は戻りません。預ける額は、これから何年暮らすかを考えて、その生活費を先に取り分け、残った中から決めます。身元保証会社に預けたお金がどう守られるかは保証人代行と身元保証会社のページにまとめています。

貯金がなくても、家があれば頼めますか

頼めます。先に預けない形にして、亡くなったあとに家を売った代金から支払う契約があります。ただし家が売れるまでの時間がかかるので、葬儀の代金を先に立て替えてもらえるかどうかを、契約の前に確認してみてください。

国や自治体が全部やってくれないのですか

いまのところ、公費で行われるのは火葬と納骨までです。葬儀を行う、決めたお墓に納める、部屋の荷物を引き取る。この3つは公費の範囲に入っていません。2026年6月に決まった法律で、無料か低額で引き受ける事業が用意されることになりました。始まるのは早くて2027年4月です。