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身元引受人が必要になる場面。署名の1回では終わりません
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介護施設では身元引受人、病院では保証人と呼びますが、求められることは似ています。保証人の欄を書ける人がいないことだけを理由に、病院が入院を断ることはできません。どこの市区町村に住んでいても、どこの病院でも同じです。
介護施設は、断られることがあります。 そのときは、書ける人がいないと伝えたうえで、代わりをどう立てるかの話になります。 代わりになるのは、民間の身元保証会社と、成年後見制度と、市区町村の相談からつながる社会福祉協議会の3つです。 このうち引受人の欄に署名するのは、民間の身元保証会社だけです。 入居契約書への署名は1回ですが、入院のたびに病院からもう一度求められますし、 介護施設を移るときにも、亡くなったあとにも求められます。

求められるのは6つの場面。そのうち4つは、そのたびに呼ばれます
書ける人がいないことは、申し込むときにそのまま伝えて大丈夫です。 介護施設の相談員から、代わりをどう立てるかを聞かれます。 連絡先に名前がひとつあるだけでも、介護施設は入居の相談を進めやすくなります。
欄そのものの説明と、そう伝えたときに介護施設がどうするかは身元引受人とはにまとめています。
- ①介護施設の入居契約書に署名するとき
- ②毎月の利用料が滞ったとき、代わりに払う人として
- ③急変したときの連絡先として
- ④介護施設に入っているあいだに入院するとき
- ⑤介護施設を移るとき
- ⑥亡くなったあと、ご遺体と荷物を引き取るとき
入居のときの署名は1回だけです。亡くなったあとの引き取りも1回です。 利用料が滞ったとき、急変の連絡、入院、介護施設を移るときの4つは、そのことが起きるたびに呼ばれます。 回数が読めないのは入院です。1年に何度も入退院する方もいれば、10年で一度もない方もいます。
入院で改めて求められるのは、介護施設と病院が別の契約だからです。 介護施設の身元引受人がそのまま病院の保証人になるわけではなく、 病院からは、病院の分をあらためて立ててほしいと言われます。入院のときの動き方は入院の保証人がいないときに書いています。
介護施設を移るときも同じです。新しい介護施設で契約を結び直すので、そこでもう一度、引受人の欄が出てきます。 引き受けた人が亡くなったり、事情が変わったりしたときは、介護施設に届け出れば変更できます。 ただし、代わりの人を探すのは自分です。
利用料が滞ったときと急変の連絡は、署名のときと違って、その場で呼ばれます。 利用料が滞れば介護施設から連絡が来ますし、体調が急に変われば夜中でも電話がかかります。 入居契約書に名前を書くことよりも、頼まれた側にとってはこちらのほうが重く感じられます。 ここを先に伝えておくと、引き受けてもらいやすくなります。
亡くなったあとは、ご遺体を引き取って葬儀の手配をすることと、部屋に残った荷物を引き取ることです。 介護施設は、部屋を次の方に使えるようにする必要があるので、荷物の引き取りを急ぎます。 ここまで含めて「身元引受人」と呼ばれています。
「入院中の連絡を誰かにしなければとわ思ってます」
代わりは3つ。いつまでに契約でき、いくらかかるか
断られたら、次の3つのどれかで立てます。引受人の欄に署名できるのは、民間の身元保証会社だけです。成年後見と社会福祉協議会は、お金の管理や契約を代わりにしてもらう形で、欄には署名しません。
社会福祉協議会は、市区町村に相談すると、つないでもらえます。 市区町村が身元引受人そのものになる仕組みは、いまのところありません。
表の「成年後見」は、自分で契約を結べなくなってから、家庭裁判所が成年後見人を選ぶものです。 いまのうちに自分で選んでおく任意後見とは別です。
| 場面 | 成年後見 | 社会福祉協議会 | 身元保証会社 |
|---|---|---|---|
| 入居の契約を結ぶ | できる | できない | できる |
| 引受人の欄に署名する | しない | しない | する |
| 毎月の利用料を払う | できる | 通帳を預かって払う | 滞ったときに保証する |
| 急変のときの連絡先 | なれる | ならない | なれる |
| 亡くなったあとの引き取り | 火葬と埋葬の契約まで | しない | 契約しだい |
成年後見人は本人の代理として契約を結びますが、支払いを保証する立場ではないので、引受人の欄には署名しません。 社会福祉協議会は、通帳を預かって毎月の支払いを代わりにする事業なので、こちらも支払いを保証する立場ではありません。 だから引受人の欄には署名しません。
引受人の欄をどう扱うかは、介護施設ごとに違います。 成年後見人が契約を結び、引受人の欄は空のまま受け付ける介護施設もあります。 特別養護老人ホームは、成年後見人が付いていても、別に引受人を求めるところが多くあります。 見学のときに、成年後見人を立てる予定だと伝えて、それでも引受人が要るかを聞いてみてください。
亡くなったあとは、火葬と埋葬の契約までが成年後見人の仕事です。 葬儀の手配や、部屋に残った荷物の片づけは、死後事務委任という別の契約で頼むことになります。 葬儀と火葬だけなら11万円、納骨まで入れて22万円、部屋の明け渡しと市区町村への届け出まで入れて33万円ほどです。
身元保証会社は、3つのうち唯一、入居契約書の欄にそのまま署名してくれます。 亡くなったあとの引き取りがその会社の料金に入っているかどうかは、申し込む前に確かめるところです。 預けたお金をどこに置くかは身元保証会社ごとに違います。 その会社の口座に入れていると、その会社が倒産したとき、預けたお金はほかの債権者と分け合うことになります。 信託銀行など、その会社の外に預け先を置いている会社もあります。 どこに置くかを契約の前に聞くと分かります。会社ごとの預け先は身元保証サービスとはで並べています。
いま元気なうちに契約できるのは、民間の身元保証会社と任意後見の2つです。 任意後見は、判断が難しくなったときに契約やお金の管理を代わりにしてもらう人を、 いまのうちに自分で選んでおく契約です。
社会福祉協議会に頼むのは、日常生活自立支援事業という名前の福祉サービスです。 生活費の出し入れと、公共料金や介護施設の利用料の支払いを代わりにしてもらえます。 申し込めるのは、この事業の契約の中身が自分で分かるうちまでです。
自分で契約を結べなくなると、家庭裁判所が成年後見人を選びます。 誰が選ばれるかは、自分では決められません。

任意後見の契約は、公証役場で結びます。 公証役場は、任意後見の契約書を公式なものにしてもらうところで、都道府県ごとに何か所かあります。 契約を結んでも、判断が難しくなるまでは動き出さないので、それまで月々はかかりません。 動き出すと、任意後見監督人がかならず付きます。 監督人は、本人が選んだ人がお金を正しく使っているかを確かめて、家庭裁判所に報告します。 この監督人は、家庭裁判所が選びます。
毎月かかるのは、任意後見を引き受けた人への報酬と、この監督人への報酬の2つです。 弁護士や司法書士に引き受けてもらう場合、2つ合わせて月4万円から8万円になります。 これは動き出してから亡くなるまで続きます。5年なら240万円から480万円です。
| 頼む先 | はじめ | 預ける | 毎月 |
|---|---|---|---|
| 成年後見 | 3,400円 | なし | 2万円 |
| 任意後見 | 2万円 | なし | 0円→4〜8万円 |
| 社会福祉協議会 | なし | なし | 2,400円 |
| 身元保証会社 | 30万〜70万円 | 50万〜150万円 | 3,300〜11,000円 |
「はじめ」の欄は、成年後見が家庭裁判所への申立ての印紙代、任意後見が公証役場の実費、身元保証会社が契約金です。 任意後見の毎月は、動き出すまでが0円で、動き出すと4万円から8万円になります。 社会福祉協議会の2,400円は、訪問1回1,200円で月に2回来てもらった場合です。 身元保証会社の毎月は、会費のある会社の場合です。 生活保護を受けている方は、社会福祉協議会の利用料はかかりません。
「預ける」の欄は、亡くなったあとの葬儀や部屋の片づけに使われて、残りは返ってきます。 払い切りの分とは別に見るものです。 身元保証会社の場合、手元から出ていって戻らないのは契約金の30万円から70万円のほうです。
同じ人に全部頼めますが、頼まれる回数はその分だけ増えます
6つの場面を、1人にまとめて頼むこともできます。 介護施設の入居契約書に署名した人が、そのまま入院のときの保証人にもなれます。 ただし、そのつど呼ばれます。
「1回書くだけ」と思って引き受けた方が、何度も入院が続くと、途中で断ることがあります。 頼まれた側は、署名した時点では何回になるかを知りません。 介護施設の書式にも回数は書かれていないので、頼む前に伝えておくのは頼む側になります。
親族の別の人や、民間の身元保証会社に分けて頼むこともできます。 急変のときの連絡先だけを親族に、お金の保証は身元保証会社に、という分け方です。

分けて頼むほうが、頼まれる側は引き受けやすくなります。 「全部を引き受けさせられるのでは」と思われたままだと、そこで断られます。 どこまでを頼むのかが決まっていれば、引き受ける側も答えを出しやすくなります。
介護施設の書式によっては、保証人の欄と緊急連絡先の欄が分かれていて、別の人の名前を書けるようになっています。 欄が1つしかない書式もあるので、連絡先だけを別の人に頼めるかどうかは、申し込みのときに確認してみてください。
頼むときに伝えるのは、いくらまでと、いつまでと、何回です。いくらまでは、引き受けた人が払うことになる上限の金額です。入居契約書に「極度額」と書かれています。 介護施設の月額の6か月から10か月分が目安で、月20万円の介護施設なら120万円から200万円になります。
いつまでは、その保証が続く期間です。 就職の身元保証と違って、介護施設の身元保証には、法律で決まった期限がありません。 入居契約書に期間の欄がなければ、入居が続いているあいだずっとです。
何回は、入居のときに1回、入院のたびに1回。 入居契約書のその3か所を見せると、引き受ける側もその場で決められます。
「頼れる相手はいるが、時期がまだ先だと思っているので実感がわかない。」
手術や検査の同意は、身元引受人とは別の話です
入院すると、手術や検査の前に同意書が出てきます。 ここで家族が呼ばれるので、身元引受人の話と同じに見えます。
手術や検査を受けるかどうかを決めるのは本人です。家族の同意がないと手術ができない、という決まりはありません。 身元引受人が引き受けるのは、支払いと、連絡と、引き取りです。 本人の代わりに医療を決めることは、そこに入っていません。
本人が答えられないときは、医師や看護師などのチームが、 本人にとっていちばんよい方法を話し合って決めることになっています。 厚生労働省が全国の病院に向けて出した手引きで、そう決められています。 名前は「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」です。 身寄りがないことだけを理由に医療が受けられなくなることのないように、と書かれています。
入院が決まったら、病院の相談窓口の医療ソーシャルワーカーに、 保証人の欄を書ける人がいないと先に伝えてみてください。 地域連携室や医療相談室という部屋にいることが多く、 受付で「医療ソーシャルワーカーの方に」と言えば通じます。
手術の話が出てから慌てるより、入院の手続きの段階で医療ソーシャルワーカーにつないでもらうほうが早く進みます。
よく聞かれること
短い期間の入所や、ショートステイでも求められますか
求められる介護施設があります。介護施設ごとに書式が違うので、申し込みのときに分かります。長く入るときと同じ欄を使っているところもあれば、緊急連絡先だけで足りるところもあります。
利用料が払えなくなったら、どうなりますか
滞納が続くと、介護施設から契約を解除されて、退去を求められることがあります。ただ、その前に打てる手があります。払えなくなりそうな段階で相談する先は、市区町村の介護保険の窓口です。特別養護老人ホームなど介護保険の施設なら、所得に応じて食費と部屋代が下がる仕組み(負担限度額認定)があります。ひと月の自己負担に上限を付ける仕組み(高額介護サービス費)もあります。
市区町村が身元引受人になってくれる仕組みはありますか
市区町村が身元引受人そのものになる仕組みは、いまのところありません。自分から申し込める窓口も、いまはありません。
認知症が進んで自分で契約を結べなくなり、代わりに契約する人もいないときは、市区町村が入所を決める「措置」という道があります。老人福祉法にもとづくもので、引受人がいるかどうかとは別に市区町村が決めます。ただし、これは自分で選んで入る形ではありません。入る先も市区町村が決めます。
身寄りのない方の相談から、亡くなったあとの手続きまでをひとつづきで引き受ける取り組みが、一部の市区町村で始まっています。川崎市では社会福祉協議会が受け付けて、預かったお金で葬儀や市区町村への届け出を行います。身元保証そのものは行いません。
お住まいの市区町村の高齢福祉の窓口で、身寄りのない方の相談を受けているかを聞いてみてください。取り組みの名前は市区町村ごとに違います。「身寄りがなく、入院や介護施設の保証人を頼める人がいない」と伝えると、そこで扱っているものを教えてもらえます。




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