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自筆証書遺言の書き方。手書きするのは本文と日付と氏名、財産の一覧は通帳のコピーでかまいません

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自筆証書遺言は、自分の手で書く遺言です。紙とペンがあれば、今日書けます。 相手や気持ちが変わったら、新しい日付で書き直せます。本文と日付と氏名を手書きして、印鑑を押せば有効です。財産の一覧だけは、通帳のコピーや登記事項証明書を付けてよいことになっています。

相続人でない友人や団体に渡すときの言い方は、「相続させる」ではなく「遺贈する」です。 友人にも、市や社会福祉協議会のような団体にも、同じ書き方で渡せます。 何も書かなければ、配偶者も子も親もいない方の財産は兄弟姉妹に渡り、兄弟姉妹もいなければ最後は国のものになります。 兄弟姉妹には取り戻す権利(遺留分)がないので、全部を友人や団体に渡すと書けば、そのとおりになります。

団体に渡すつもりなら、渡せる団体の名前と、受け付けているかの聞き方まで、この記事にあります。 友人に渡すか団体に渡すかも決めかねている方の入口は、遺言書の書き方です。

手で書くのは本文と日付と氏名の3つ。財産の一覧は通帳のコピーでかまいません

手で書くのは、本文・日付・氏名の3つです。それに印鑑を押して、決まりは4つです。 この4つがそろっていれば、便せんに書いても有効です。 縦書きでも横書きでも、コピー用紙でもかまいません。書く順番にも決まりはありません。

ペンは、ボールペンか万年筆です。消えるインクのペンと鉛筆は使いません。 印鑑は認印でも実印でもかまいません。 スタンプ式の印は、無効と決まっているわけではありませんが、印影が崩れやすいので避けます。 氏名は、ふだん使っている通称ではなく、戸籍どおりの名前です。

全財産と書くなら、財産の一覧は要りません。口座ごと、家ごとに分けて渡すときだけ、一覧を付けます。 その一覧だけは、手書きでなくてよいことになっています。 預金なら通帳のコピー、家や土地なら法務局で取る登記事項証明書を、そのまま別紙として付けられます。 通帳は、銀行名・支店名・口座番号が載っているページをコピーします。登記事項証明書は法務局で1通600円です。 パソコンで打った一覧でもかまいません。 ただし、その別紙の1枚ごとに、自分の名前を手書きして印鑑を押します。 表と裏の両面に書いてあれば、両面に押します。

法務局に預けるなら、2枚以上でもホチキスでとじずに、各ページの下に「1/2」「2/2」とページ番号を入れます。 別紙も同じ通し番号です。とじないのは、法務局が1枚ずつ読み取るためです。 手元に置くなら、とじてもかまいません。

書いたあとに法務局へ預けるつもりなら、A4の紙の片面に、上5ミリ・下10ミリ・左20ミリ・右5ミリの余白を空けて書く決まりです。 手元に置くなら紙の決まりはありません。 通帳のコピーや登記事項証明書の別紙も、同じA4の片面で、同じ余白です。 通帳は、コピー機のガラスの端から2センチほど離して置くか、少し縮小してコピーすると、余白が取れます。 登記事項証明書はA4なので、そのまま付けられます。余白が足りなければ、少し縮小してコピーします。 最初からA4の片面に余白を空けて書いておくと、あとで預けることにしたときに書き直さずに済みます。

預金と家を分けて渡す遺言を3枚で作る場合の図。1枚目は本文(別紙1の預金は〇〇〇〇に、別紙2の家は社会福祉法人〇〇に)・日付・氏名を手書きして印鑑を押す。2枚目の別紙1は通帳のコピー、3枚目の別紙2は登記事項証明書で、どちらの紙にも氏名を手書きして印鑑を押す。ページ番号を1/3、2/3、3/3のように下に書く。法務局に預けるなら3枚をとじない。

友人や団体に渡すときは「遺贈する」と書き、渡す相手は生年月日か所在地まで書きます

相続人でない人に財産を渡すことを、遺贈といいます。 「相続させる」は、相続人に渡すときの言い方です。

友人1人に全部渡す場合の本文

遺言者は、遺言者の有する全財産を、〇〇〇〇(〇〇年〇月〇日生、〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)に遺贈する。

団体に渡す場合の本文

遺言者は、遺言者の有する全財産を、社会福祉法人〇〇(所在地 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)に遺贈する。

友人と団体に分ける場合の本文

第1条 遺言者は、別紙1の預金を、〇〇〇〇(〇〇年〇月〇日生)に遺贈する。

第2条 遺言者は、別紙2の土地と建物を、社会福祉法人〇〇(所在地 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)に遺贈する。

友人2人に半分ずつ渡す場合の本文

遺言者は、遺言者の有する全財産を、〇〇〇〇(〇〇年〇月〇日生)と〇〇〇〇(〇〇年〇月〇日生)に、2分の1ずつ遺贈する。

渡す相手は、同じ名前の人が2人いても決まるように書きます。 個人なら氏名と、生年月日か住所です。団体なら正式な名前と所在地です。 生年月日と住所の両方を添えておくと、なお確かです。渡す相手に知らせずに書くときは、氏名と住所で足ります。 団体の正式な名前と所在地は、団体のサイトの概要のページにあります。 社会福祉協議会なら「社会福祉法人〇〇市社会福祉協議会」のように、法人の種類から始まる正式な名前です。

渡す財産は、「全財産」と書けば、預金も家も、書いたあとに増えた分も含まれます。 借金があれば、それも一緒に渡ります。受け取る側は、亡くなったことを知ってから3か月のあいだに、受け取らないと決めることもできます。 受け取らないと言われた分は、受け取らないときの代わりの相手を書いていれば、その相手に渡ります。 書いていなければ、遺言に書いていないのと同じになり、相続人がいない場合は国のものになります。 口座ごとに分けて渡すときだけ、「〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号1234567」のように書くか、通帳のコピーを別紙にします。 家や土地を分けて書くときは、登記事項証明書に書いてある所在・地番・家屋番号のとおりに書くか、登記事項証明書の写しを別紙にします。

「葬儀の代金を引いた残り全部を〇〇市に遺贈する」と書けば、葬儀の代金は遺言執行者が預金から払い、残りを〇〇市に渡す形になります。 遺言執行者は、亡くなったあとに預金を解約して渡す人です。 葬儀そのものを頼む相手は、死後事務委任契約で決めておきます。

市区町村にも渡せます。書き方は「〇〇市に遺贈する」です。 市役所の寄付を受け付けている課に電話すると、受け付けているかどうかと持って行く先が分かります。 遺言での寄付を受け付けている団体は、社会福祉協議会、日本赤十字社、大学などです。 団体によっては、家や土地を受け取らないところがあります。 全財産と書く前に、「遺言で寄付を受け付けていますか。家も受け取れますか」と、その団体に聞いておきます。 団体に全部渡すなら、遺言執行者もその団体が引き受けてくれるかを、同じときに聞いておきます。

1枚に書くのは5つ。渡す相手、渡す財産、先に亡くなったときの2人目、銀行と法務局を回る人、日付と氏名

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「今のところ考えていないが、そのうちいろいろ調べたうえで検討する予定にしている。」
神奈川県・60代・女性

子も親もいない方が友人1人か団体1つに渡す遺言は、次の5つで足ります。 上から順に、条ごとに番号を付けた形です。 書く前にそろえておくのは、渡す相手の氏名と、生年月日か住所です。

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する全財産を、〇〇〇〇(〇〇年〇月〇日生、〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)に遺贈する。

第2条 〇〇〇〇が遺言者より先に死亡していたとき、または前条の遺贈を受け取らなかったときは、前条の財産を社会福祉法人〇〇に遺贈する。

(社会福祉法人〇〇の所在地 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)

第3条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、〇〇〇〇(〇〇年〇月〇日生、〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号)を指定する。

令和〇年〇月〇日

〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号

遺言者 〇〇 〇〇 ㊞

第1条が、渡す相手と渡す財産です。全部を1人に渡すなら1行で済みます。友人と団体に分けるなら、条を分けて、誰にどの財産を渡すかまでが要ります。

第2条が、渡す相手が先に亡くなっていたときや、受け取らなかったときの2人目です。同じ年代の友人なら、先に亡くなることは珍しくありません。 書いていないと、その分は渡す先がなくなり、相続人がいなければ国のものになります。 2人目も、友人でも団体でもかまいません。

第3条が、亡くなったあとに銀行や法務局を回る人で、遺言執行者といいます。預金を解約し、家の名義を変える人です。財産を受け取る友人に、そのまま頼んでもかまいません。 団体が引き受けず、頼める友人もいなければ、司法書士や弁護士に頼みます。 報酬は司法書士で財産の1%ほど、最低30万円と決めている事務所が多くあります。 弁護士は財産の額に応じた決め方で、3,000万円なら84万円ほどと、司法書士より高めです。 この報酬は亡くなったあとに財産の中から払われるので、生きているうちに手元のお金から出すものではありません。 名前を書いておくだけでもよく、引き受けるかどうかは、亡くなったあとに頼まれた人が決めます。 生きているうちに引き受けてもらう約束をしてから、第3条に頼む人の名前と生年月日を書くほうが確かです。書いていないか、断られると、財産を受け取る人が家庭裁判所に選んでもらう申し立てをするところから始まります。遺言執行者に頼めることは、遺言書の書き方の「遺言執行者は、銀行や法務局を回る役」の節にまとめています。

最後が日付と氏名です。日付は「令和〇年〇月〇日」と、年月日を全部そろえた形です。 氏名のあとに印鑑を押します。住所は決まりではありませんが、本人を決める助けになるので、入れておくと確かです。

なぜその人に渡すのかを、条の外に一言添えることもできます。 「〇〇さんには長年世話になったので、感謝をこめて渡します」の一文で、受け取る人にも、あとで現れた親族にも、本人の意思だと伝わります。 書かなくても遺言の効き目は変わりません。

書かなくてよいものもあります。相続人がいないことを説明する必要はなく、財産の額を書く必要もありません。 額は亡くなった時点で決まるので、書いてあってもそのとおりにはなりません。

効かなくなるのは、パソコンで書いた本文、吉日と書いた日付、押印なし、線で消しただけの訂正です

自分で書いた遺言は、亡くなったあとに家庭裁判所か法務局、それに銀行が形式を見ることになります。 そのときに無効と分かっても、本人はもういないので書き直せません。 効かなくなる書き方は4つです。前の3つは遺言全体が無効になり、4つ目は訂正だけが無かったことになります。

自筆の遺言が効かなくなる4つを、絵と×で並べた図。パソコンで打った本文。「吉日」のように日が決まらない日付。氏名の横に印鑑が押されていない。書き間違いを線で消して書き直しただけの訂正。書き始めてすぐに間違えたら、新しい紙に書き直すのが確か。

本文をパソコンで打って印刷したものは、手書きでないので無効です。 スマートフォンのメモに書いたものも同じです。

日付が「令和〇年〇月吉日」のように日が決まらないものは無効です。 年月日が全部そろっていることが決まりです。日付は、遺言が2通あるときにどちらが新しいかを決めるものなので、ここが決まらないと遺言全体が効きません。

印鑑が押されていないものは無効です。押し忘れが多いところです。 署名だけで印鑑が無い遺言は、本人が書いたものでも効きません。

書き間違いを線で消して書き直しただけの訂正は、訂正が効かず、消す前の字で読まれます。 直し方は決まっていて、間違えた字を二重線で消し、そのそばに正しい字を書き、 欄外に「第1条中、2字削除、3字加入」のように直した場所と字数を書き添えて署名し、消した場所に印鑑を押します。 手間がかかるので、書き始めてすぐに間違えたら、新しい紙に書き直すほうが確かです。

欄外に書き添える訂正の例

第1条中、2字削除、3字加入 〇〇 〇〇

効かなくなる書き方は、ほかに2つ

1人1通です。2人で1通に連名で書いた遺言は効きません。夫婦でも、友人どうしでも、それぞれが1通ずつ書きます。

形式はそろっていても、中身が決まらないと効きません。 「預金を〇〇に」と書いて銀行名も口座も無い、「友人の田中さんに」と書いて生年月日も住所も無い、という書き方です。 どの預金か、どの田中さんかが決まらないと、銀行も法務局も名義を変えられません。 「全財産」と書くか、口座と渡す相手を生年月日か住所まで書くか、どちらかにします。

書いたあとは封をせず、法務局に預けるか、見つけてもらえる場所に置きます

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「終活について、調べたいと考えている。」
茨城県・70代・男性

書き上げた遺言の置き場所は2つです。法務局に預けるか、手元に置くか。 手元に置くには、自分で持っておく形と、遺言執行者に頼んだ人に渡しておく形があり、どちらも亡くなったあとに検認が要ります。 どちらでも遺言の効き目は同じです。 違うのは、亡くなったあとに見つけてもらえるかどうかと、検認が要るかどうかです。 検認は、遺言を家庭裁判所に出して、中身を確認してもらう手続きです。

法務局に預けると、預けるときに形式を見てもらえて、亡くなったあとの検認が要らなくなり、 亡くなったことが分かった時点で、指定しておいた人に法務局から知らせが届きます。知らせる相手は3人まで指定できます。 亡くなったことは、法務局が市区町村の戸籍の情報で確かめます。誰かが法務局に知らせなくても届きます。 預けたあとに書き直したくなったら、取り下げて、新しいものを預け直せます。 1通3,900円です。預けられるのは、住所地か本籍地か、持っている家や土地のある場所の法務局です。 予約をしてから、封筒に入れずに、本人が持って行きます。代わりの人では預けられません。 預け方と知らせの仕組みは遺言書の書き方の「作り方は3通り」の節にまとめています。

手元に置く場合は、封をしないでおきます。 封をした遺言は、家庭裁判所で開ける決まりです。それ以外の場所で誰かが勝手に開けると、開けた人が5万円以下の過料になります。 遺言そのものは無効になりませんが、開けた人に迷惑がかかります。 封をしなくても、遺言は効きます。読まれるのが心配なら、法務局に預けます。

手元に置いた遺言は、亡くなったあとに検認が要ります。受け取る友人か遺言執行者が、そこから始めることになります。 検認の申し立ては、遺言1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手を付けて、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に出すものです。 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が要るので、そろえるのに時間がかかります。 受け取る友人が申し立てる場合は、検認に要るという理由で、市区町村役場に戸籍を請求できます。 検認が終わるまで、遺言で預金を下ろすことはできません。受け取る相手の手間を減らしたいなら、法務局に預けておくか、公証役場で作ります。

置き場所は、亡くなったあとに部屋を片づける人が見つけられるところにします。 手元に置くなら、いちばん確かなのは、遺言執行者に頼んだ人に渡しておくことです。 渡したあとも、自分の手元にコピーを置いておくと、書き直すときの元になります。 亡くなったあとに部屋を片づける人を決めておく契約は死後事務委任契約にまとめています。

書き直したくなったら、新しい日付で1枚書き直します。日付の新しいほうが効きます。 古いものを処分しておくと、見つけた人がどちらが新しいか迷わずに済みます。

よく聞かれること

字を書くのがつらくなってきました

本文は自分の手で書くのが決まりなので、代わりに書いてもらうことはできません。手が不自由になっていたら、公証役場で作る公正証書遺言なら口で伝えて作れます。手順は公正証書遺言の手順にまとめています。

通帳のコピーを付けるとき、コピーのどこに名前を書きますか

コピーの余白に、自分の名前を手書きして印鑑を押します。コピーが3枚あれば3枚とも、両面にコピーしたなら両面にです。1枚目の本文には「別紙1の預金を〇〇に遺贈する」のように、別紙の番号で指します。

証人は要りますか

要りません。証人が2人要るのは公証役場で作る公正証書遺言で、自分で書く遺言は1人で書いて1人で仕上げます。誰にも見せずに書いてかまいません。

遺言を書いたことを、渡す相手に言ったほうがいいですか

言っておくと、亡くなったあとに探しに来てもらえます。自分で書いて手元に置いた遺言は、知らせが届く仕組みがありません。言いたくない場合は、法務局に預けて、知らせの届け先に遺言執行者を指定しておくと、渡す相手に知らせずに済みます。

封筒に入れて、表に「遺言書」と書いておいたほうがいいですか

封筒に入れてもかまいません。表に「遺言書」と書いておくと、部屋を片づける人が見つけやすくなります。法務局に預けるときは、封筒から出して遺言だけを持って行きます。

書いたあとに引っ越したら、書き直しですか

書き直しは要りません。住所は遺言の決まりに入っていないので、変わっても遺言はそのまま効きます。変わったら書き直しになるのは、渡す相手や渡す財産を変えたいときだけです。法務局に預けたあとに引っ越した場合は、法務局に住所の変更を届け出ます。

書いた遺言を、あとで公証役場のものに作り直せますか

作り直せます。日付の新しい遺言が効くので、あとから公正証書遺言を作れば、そちらが優先されます。自分で書いたものを先に用意しておき、余裕ができたら公証役場で作り直す、という順番でかまいません。