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遺言執行者は何をする人か。頼まれた友人がすること4つと、報酬、書いていないときの申し立て

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遺言執行者は、亡くなったあとに銀行と法務局を回って、遺言に書いてあるとおりに財産を渡す人です。 遺言の中で「遺言執行者を〇〇とする」と1行書いておけば、その人だけで銀行の手続きを進められます。法務局(家の名義を変えるところ)は、家を受け取る人と2人で申請します。

頼めるのは、友人でも、甥や姪でも、財産を受け取る本人でも、司法書士や弁護士でもかまいません。 友人に頼むなら、報酬は0円でもかまいません。

遺言に遺言執行者を書いていないと、財産をもらう側の友人(団体に渡すなら、その団体)が、相続人全員の印鑑をもらって回ることになります。 相続人は、配偶者・子・親・兄弟姉妹の順で、いる人です。 相続人がいない方の場合は、家庭裁判所に遺言執行者を選んでもらうところから始まります。

渡す相手がいない方は、遺言を書かなければ、財産は兄弟姉妹(亡くなっていれば甥・姪)に渡り、誰もいなければ国のものになります。 国のものになるまでには、家庭裁判所に申し立てて相続人を探す手続きが要り、半年以上かかります。 申し立てるのは、お金を貸していた人や部屋の大家、生前に世話をしていた人です。 誰も申し立てなければ、預金は銀行に残ったままで、国にも渡りません。 市区町村や団体に渡す遺言を書けば、そこに渡ります。

遺言執行者は、亡くなったあとに遺言のとおり財産を渡す人です。葬儀や部屋の片づけは、この人の仕事ではありません

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「死亡後の手続きなどは誰がやってくれるのかわからずに不安。」
愛知県・60代・男性

亡くなったあとの手続きは、2つに分かれます。 財産を渡す手続きと、それ以外の手続きです。 遺言執行者がするのは、財産を渡す手続きだけです。 預金を解約して受け取る人に振り込み、家の名義を受け取る人に変え、遺言に書いてあるとおりに配ります。

葬儀、火葬、部屋の片づけ、電気や水道の解約、市区町村への届けは、遺言執行者の仕事ではありません。 そちらは死後事務委任契約で頼む仕事です。 遺言に「葬儀は〇〇に頼む」と書いても、それだけでは頼めません。 同じ友人に両方を頼むなら、遺言と死後事務委任契約の2つを作ります。

遺言執行者がいると、相続人の署名や印鑑証明書は要りません。

遺言に書くのは「遺言執行者を〇〇とする」の1行で、〇〇は氏名と生年月日です。 司法書士の事務所や団体を書くなら、名称と所在地です。 自分で書く場合の文例は自筆証書遺言の書き方に、公証役場で作る手順は公正証書遺言の手順にあります。

頼まれた友人がすることは4つ。戸籍を集め、銀行と法務局を回り、受け取る人に渡します

相続人がいない方の遺言なら、遺言執行者の仕事は4つで、全部で2〜3か月ほどです。 相続人がいる方の遺言では、これに「相続人に遺言の中身と財産の一覧を知らせる」が加わります。

自分で書いて手元に置いた遺言なら、この4つの前に家庭裁判所の検認が要り、1〜2か月かかります。 検認は、遺言を家庭裁判所に出して、中身を確認してもらう手続きです。 自分で書いて法務局に預けておく制度(自筆証書遺言書保管制度)を使った遺言と、公証役場で作った遺言は、検認が要りません。

遺言執行者に頼まれた友人がすることを、上から下へ4つ並べた図。1つ目は市区町村で亡くなった方の戸籍を取る(1か月ほど)。2つ目は銀行で預金を解約して振り込む(書類を出してから1〜2週間)。3つ目は法務局で家の名義を変える(申請から10日ほど。家がなければ要らない)。4つ目は残りの財産を渡す(売って渡す分、条件つきの分、家の中の品物)。全部で2〜3か月。

戸籍は、亡くなったことと、相続人がいないことを、銀行と法務局に示すためのものです。 本籍地の市区町村で、生まれてから亡くなるまでの分をそろえます。 友人は他人ですが、遺言執行者として要る理由を書き、遺言の写しを添えれば取れます。

銀行では、銀行ごとの相続の届け出用紙に、遺言執行者が1人で署名します。 相続人の署名は要りません。 普通は相続の届け出用紙を出してから1〜2週間、投資信託や国債があると1か月半ほどです。

法務局では、家を受け取る人と遺言執行者の2人で申請します。 受け取る人が遺言執行者を兼ねていれば、1人でできます。 家がなければ、法務局は要りません。 名義変更にかかる税と、受け取る側の相続税は、遺贈とはの記事にまとめています。

渡すときは、遺言に書いてあるとおりにします。 「売って代金を渡す」と書いてあれば、売るところまでが遺言執行者の仕事です。 「猫の世話を条件に」と書いてあれば、受け取る人が猫の世話を引き受けるかを確かめてから渡します。 引き受けなければ、その分は相続人のものになり、相続人がいなければ国のものになります。

行く先持って行くもの
銀行遺言、亡くなった方の戸籍、通帳、遺言執行者の実印と印鑑証明書
法務局遺言、亡くなった方の戸籍と住民票の除票(亡くなった人の住民票)、家の権利証、遺言執行者の印鑑証明書、受け取る人の住民票

頼めるのは、友人でも、甥や姪でも、財産を受け取る本人でもかまいません。司法書士や信託銀行、渡す先の団体にも頼めます

頼れる家族がいない人の実態調査2026 — 回答者の声

「子どもがいないので、甥っ子に頼みたいが、全然会えないでいる。」
神奈川県・60代・男性

遺言執行者になれないのは、未成年の人と、破産の手続き中の人だけです。 それ以外なら、友人でも、甥や姪でも、何年も会っていない人でもかまいません。 財産を受け取る友人をそのまま遺言執行者にする形が、いちばん手間が少なくて済みます。 受け取る本人が自分のために銀行と法務局を回るので、頼む相手を別に探す必要がありません。

頼まれた人は、引き受けるかどうかを、亡くなったあとに決めます。 生きているうちに話を通しておけば、断られることはまずありません。 話を通さずに書いて断られると、家庭裁判所に別の人を選んでもらうことになります。 会えていない甥に頼むなら、「〇〇が先に亡くなっていたとき、または引き受けないときは、△△を遺言執行者とする」と2人目を書いておく手があります。 2人目は司法書士でも、財産を受け取る団体でもかまいません。

銀行や法務局を回るのが友人には重そうなら、司法書士・行政書士・弁護士に頼めます。 司法書士と弁護士は、戸籍集めから法務局の名義変更まで全部します。 行政書士は法務局の申請ができないので、家がある方は司法書士か弁護士です。 友人を遺言執行者にしておいて、亡くなったあとに友人が司法書士に任せることもできます。 司法書士の報酬は亡くなった方の財産から出るので、友人の持ち出しにはなりません。

信託銀行の遺言信託は、遺言を作るところから保管、亡くなったあとの手続きまでを銀行が引き受けます。 報酬が最低110万円なので、家や預金が少ない方には向きません。

渡す相手がいない方は、市区町村や、寄付を受け付けている団体に渡す遺言を書けます。 団体が遺言執行者を引き受けてくれることがあり、引き受けるかどうかは団体や市区町村に聞いてから決めます。 引き受けてくれなければ、遺言執行者は司法書士、渡す先は団体、と書き分ける形になります。 寄付を受け付けている団体の探し方と聞き方は、自筆証書遺言の書き方の「友人や団体に渡すときは「遺贈する」と書き」の節にあります。

報酬は、友人なら0円でもよく、司法書士なら30万〜60万円。財産の中から払われます

遺言執行者の報酬は、亡くなったあとに、財産の中から払われます。 生きているうちに払うものではなく、受け取る友人が自分のお金を出すものでもありません。 戸籍を取る手数料や交通費のような実費も同じです。

友人や甥姪に頼む場合は、報酬なしでもかまいません。 払いたいなら、遺言に「遺言執行者に対する報酬は、金〇〇円とする」と1行書けば済みます。 書いていなければ、頼まれた人が家庭裁判所に決めてもらうこともできますが、友人がそこまでするのはまれです。 報酬は仕事の対価なので、贈与税はかからず、受け取った友人の収入として所得税の対象になります。

司法書士や弁護士、信託銀行に頼む場合は、財産の額で報酬が決まり、頼む先で2倍以上違います。 財産1,000万円なら、司法書士は30万〜40万円、弁護士は44万円ほどです。

財産3,000万円のときの遺言執行者の報酬を、5つ横に並べた図。友人・甥姪は0円か、遺言に書いた額。行政書士は45万円ほど。司法書士は30万〜60万円。弁護士は84万円ほど。信託銀行は110万円から。頼む相手で2倍以上違う。
頼む相手報酬の決まり方
行政書士財産の額で段階。1,000万円までは25万円、2,000万円までは35万円、3,000万円までは45万円ほど
司法書士財産の1%。最低30万円か、1%に30万円を足す
弁護士財産の2%に24万円を足す(300万円超〜3,000万円)
信託銀行財産の2.2%。最低110万円。遺言を作るときの手数料33万円が別
渡す先の団体報酬を取るか、取るなら寄付の中から引くのかを、引き受けるかどうかと一緒に聞く

司法書士や弁護士に頼むなら、遺言を作るときに、その事務所を遺言執行者として書いておきます。 遺言を作る費用とは別に、亡くなったあとにこの報酬がかかります。

遺言に遺言執行者を書いていないと、受け取る友人が家庭裁判所に選んでもらう申し立てをするところから始まります

遺言に遺言執行者を書いていないと、銀行と法務局の手続きは、相続人全員の印鑑証明書がそろわないと進みません。 相続人がいない方の場合は、印鑑をもらう相続人がいません。 家庭裁判所に遺言執行者を選んでもらいます。 申し立てるのは、財産を受け取る友人や団体です。 相続人がいる方でも、相続人が印鑑証明書を出してくれなければ、同じ申し立てになります。 兄弟姉妹には取り戻す権利(遺留分)がないので、納得しなくても遺言に書いた相手に渡ります。 遺言執行者を書いておけば、印鑑証明書も申し立ても要りません。

申し立てる先は、亡くなった方が最後に住んでいた場所の家庭裁判所です。 家庭裁判所に払うのは、収入印紙800円と、連絡用の郵便切手です。 出すのは、申立書、亡くなった方の戸籍、遺言執行者になる人の住民票、遺言の写しです。 財産を受け取る人だと示すのは、遺言の写しで足ります。 遺言執行者になる人は、申し立てる友人自身でもかまいません。 家庭裁判所が申立書を受け取ってから、選ばれるまで1か月ほどです。

自分で書いて手元に置いた遺言なら、その前に検認があるので、友人は家庭裁判所に2回行きます。 遺言に遺言執行者を1行書いておけば、この申し立てはまるごと要りません。

書いてあった人が先に亡くなっていたときや、引き受けを断ったときも、同じ申し立てになります。

頼んだ人には、遺言と通帳と権利証の置き場所と、相続人がいるかどうかを伝えておきます

遺言執行者は、遺言があることを知ってはじめて動けます。 公証役場で作った遺言は、亡くなっても誰にも知らせが行きません。 だから、公証役場の名前と、正本の置き場所を伝えておきます。 自分で書いて法務局に預けておく制度(自筆証書遺言書保管制度)では、預けるときに指定した人(3人まで)に法務局から知らせが届きます。 そこに遺言執行者を入れておきます。 預け方は自筆証書遺言の書き方の記事にあります。 自分で書いて手元に置いた遺言は、置き場所を伝えておけば、遺言のとおりに渡ります。

伝えておくのは、遺言の置き場所と、通帳と家の権利証の置き場所と、相続人がいるかどうかの3つです。 この3つが分かっていれば、頼まれた友人は、亡くなったあとに家の中を探し回らずに済みます。 教えるのは置き場所だけです。 通帳もカードも渡さないので、生きているうちは自分しか使えません。

亡くなった直後の手続きを頼む死後事務委任契約の相手と遺言執行者を同じ友人にし、入院のときの緊急連絡先もその友人にしておけば、亡くなったことをその友人が最初に知ります。 遺言そのものの書き方と、誰に何を渡すかの決め方は遺言書の書き方にまとめています。

よく聞かれること

遺言執行者は、生きているうちに何かしますか

何もしません。動くのは亡くなったあとだけです。生きているうちの見守りや、入院の付き添い、お金の管理は、遺言執行者の役目ではなく、見守り契約や任意後見契約で頼みます。

遺言執行者を2人書けますか

書けます。先の人が引き受けないときの控えとして2人目を書く形とは別に、同時に2人書くこともできます。友人と司法書士の2人を書いておけば、銀行や法務局を回る仕事は司法書士がします。友人は、司法書士が遺言どおりに渡したかを見る側に回れます。2人書くときは、それぞれ1人でも銀行や法務局の手続きができるように「各自単独で執行できる」と添えます。

遺言執行者が、財産を勝手に使ったら

財産を受け取る人が、家庭裁判所に解任を求められます。相続人がいない方の場合は、受け取る友人や団体がその立場です。使われた分は、使った遺言執行者に返すよう求められます。戻るかどうかは、使った遺言執行者に払える財産があるかによります。頼む相手を1人に絞るのが心配なら、司法書士を2人目の遺言執行者にしておく形があります。

相続人がいる場合、遺言執行者は相続人に知らせますか

知らせます。引き受けたあと、遺言の中身と財産の一覧を相続人に送ることになっています。兄弟姉妹に黙って友人に渡す遺言を書いても、亡くなったあとには遺言執行者から兄弟姉妹に知らせが行きます。兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言のとおりに渡ります。相続人がいない方の場合は、この仕事はありません。