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任意後見人と成年後見人の違い。銀行や施設の手続きを誰に頼むかで分かれます
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判断が難しくなると、銀行の窓口でお金をおろせなくなります。介護施設に入る契約もできません。 代わりにやる人を、判断できるうちに自分で決めておくのが任意後見。 決めないままでいると、家庭裁判所が決めるのが法定後見です。

成年後見制度の中に、任意後見と法定後見の2つがあります
これを代わりにやってもらう仕組みが、成年後見制度です。
「成年後見制度」は大きなくくりの名前です。中に2つ入っています。 判断できるうちに自分で引き受ける人を決めておくのが任意後見。 決めないまま判断が難しくなったときに、家庭裁判所が引き受ける人を決めるのが法定後見です。
この2つの言葉で探す方がほとんどです。ただ、そのまま並べてくらべられる言葉ではありません。 「成年後見人」は、法定後見が後見・保佐・補助の3つに分かれたうちの、後見に付く人の呼び名です。 「任意後見人」は、任意後見で引き受ける人の呼び名で、こちらは分かれません。片方は3つのうちの1つの呼び名、もう片方は制度まるごとの呼び名なので、 くらべることになるのは任意後見と法定後見です。
成年後見人にも任意後見人にも、入院の申込書の保証人の欄に名前を書くことはできません。 病院が求めているのは入院代を引き受ける人で、代わりに動く人とは別だからです。 そこは、身元保証を仕事にしている会社などに別に頼むことになります。

分かれ目は、判断できるうちに自分で決めたかどうかです
どちらになるかは、任意後見人か成年後見人かという呼び名で決まるのではありません。 判断できるうちに引き受ける人を決めて契約しておけば任意後見、 決めないまま判断が難しくなれば法定後見です。
任意後見のほうは、契約を結んだだけでは動き出しません。 判断が難しくなったあとに、引き受けた人が取り決めどおりにやっているかを見て 家庭裁判所に報告する人(任意後見監督人)が選ばれてから始まります。
| くらべる軸 | 任意後見 | 法定後見 |
|---|---|---|
| 決める時期 | 判断できるうち | 判断が難しくなってから |
| 誰が決めるか | 自分 | 家庭裁判所 |
| 始まり方 | 契約したあと、任意後見監督人が選ばれてから | 家庭裁判所に申し立てて、審判が出てから |
| 分かれ方 | 分かれない | 後見・保佐・補助の3つ |
任意後見を始めるために家庭裁判所へ申し立てるのは、本人、配偶者、四親等以内の親族、 それに契約で引き受けた人の4者です。 四親等以内の親族には、兄弟姉妹、おい・めい、おじ・おば、いとこまで入ります。 頼れる親族がいない方の場合、動けるのは引き受けた人だけになります。
引き受けた人が申し立ててくれるように、契約のときに2つ決めておきます。 月に一度連絡をもらう約束と、どうなったら申し立てるかです。 「同じ物を二度買ってしまったら」のように、起きたことで分かる形にしておくと、そのときに迷いません。
契約を結ぶのにかかるのは、公証役場に払う分が2万円ほど。 任意後見の契約書を司法書士や弁護士に作ってもらう場合は、この2万円も入れて、全部で7万円から17万円です。 結び方は任意後見制度とはにまとめています。
法定後見のほうは、契約が要りません。困ってから申し立てます。 そのかわり、誰が引き受けるかも、後見・保佐・補助のどれになるかも、家庭裁判所が決めます。
決めないままだと、判断する力の程度で3つに分かれます
法定後見は、判断する力がどのくらい残っているかで3つに分かれます。どれになるかを決めるのは家庭裁判所で、医師の診断書を見て判断します。
| 分かれ方と、付く人 | どういう方が対象か |
|---|---|
| 後見(成年後見人) | 多くの手続きや契約を、ひとりで決めるのがむずかしい方 |
| 保佐(保佐人) | 買い物のときのお金の勘定も、ひとりでは難しくなってきた方 |
| 補助(補助人) | 毎日の買い物はひとりでできるが、借金や保証のような大きな話になると心配な方 |
申し立てがいちばん多いのは後見で7割弱、保佐が2割強、補助が1割足らずです。
重いほうほど、代わりにできることが広がります。 そのかわり、本人が自分で決められる場面が減ります。
法定後見の申し立てができるのは、本人、配偶者、四親等以内(いとこまで)の親族と、市区町村長です。親族に誰もいない場合は、市区町村長が申し立てる形になります。介護施設や病院、地域包括支援センターが気づいて市区町村につなぎ、そこから家庭裁判所へ、という順です。 実際、申し立てた人の4分の1近くが市区町村長です。
取り消してもらえる範囲は、後見・保佐・補助で違います
判断が難しくなってきたころに、訪問販売で高い布団を買ってしまうことがあります。 あとから取り消してもらえるかどうかは、どれになったかで変わります。
成年後見人・保佐人・補助人・任意後見人に付く力には、代わりに動く力と、本人がした契約を取り消す力の2つがあります。 どちらが付くかは、後見・保佐・補助で違います。

成年後見人は、財産に関することなら代わりにぜんぶできます。 本人が自分でした契約も、日常生活に関するものを除いて取り消せます。 毎日の買い物まで取り消されると暮らしが立たないので、そこは外してあります。
保佐人が取り消せるのは、借金、人の保証人になること、家や土地の売り買いなど、大きいものだけです。 代わりに動く力のほうは、申し立てで決めた行為にだけ付きます。
補助人は、申し立てで決めた行為だけです。 代わりに動く力と取り消す力の、どちらかだけを付けることも、両方付けることもできます。 申し立てる人が、どちらを付けるかを決めて家庭裁判所に伝えます。
任意後見人には、取り消す力がありません。できるのは代わりに動くことまでです。
はじめの布団の話でいえば、こうなります。 任意後見人には取り消す力がないので、この布団は返せません。成年後見人なら取り消せます。 保佐人と補助人は、その買い物が決められた範囲に入っていれば取り消せます。
本人の「はい」が要るのは、補助と、保佐の代わりに動く力と、任意後見です
本人以外が申し立てて補助を始めるときは、本人の同意が要ります。 補助人に、代わりに動く力や取り消す力を付けるときも同じです。 保佐人に代わりに動く力を付けるときも同じです。
後見には、本人の同意が要りません。 判断する力が欠けているのがふだんの状態なので、同意そのものを求められない、という考え方です。
つまり、重いほうほど本人の意思が入らなくなります。 軽いうちなら断れます。だから、決めるなら元気なうちです。
実際に任意後見の契約を結んでいる方の平均は80歳、いちばん多いのが83歳です。 ただし、80歳で結べるのは、そのとき公証人と話ができる方だけです。 契約は公証役場で、公証人が本人と会って中身が分かっているかを確かめてから結びます。結んでおいても、判断ができているあいだは何も起きません。早く結んだからといって、その分だけ何かが始まるわけではありません。
任意後見も、始めるときに本人の同意が要ります。 本人以外が家庭裁判所に申し立てる場合、本人が自分の考えを言える状態なら、 本人が首を縦に振らないと始まりません。言えない状態になっていれば、同意は要りません。 自分で選んで結んだ制度なので、始めるときも自分の意思を通す形になっています。
後見人に選ばれるのは、8割強が親族以外です
法定後見で選ばれた人のうち、親族以外が8割強です。 いちばん多いのが司法書士で3分の1。次が弁護士で4分の1、そのあとに社会福祉士が2割で続きます。 司法書士は登記や書類の手続きを仕事にしている人、社会福祉士は福祉の相談を仕事にしている人です。 親族が選ばれたのは2割足らずです。
「誰に相談して良いかわからない」
頼める親族がいない方は、はじめからこの中の誰かが選ばれることになります。 誰になるかを申立書に書いて出すことはできますが、そのとおりに選ばれるとは限りません。
任意後見のほうは、自分で決めます。 司法書士、弁護士、行政書士と、任意後見を引き受けているNPOや一般社団法人。 身内や友人に頼むこともできます。親等の決まりはありません。
探し方は2つあります。 いま元気で、自分で引き受ける人を決めておきたいときは、お住まいの都道府県の名前と「司法書士会」。 後見の相談窓口があり、電話で予約できます。 すでに判断が難しくなってきた方のことで相談するときは、 お住まいの市区町村の名前と「地域包括支援センター」。 高齢者の相談を受けるところで、成年後見の相談と紹介も仕事に入っています。
「何から始めていいのかどのような手続きが必要かが知りたい」
引き受けてもらったあとは、毎年お金がかかります。 法定後見で選ばれた人への報酬は、月2万円ほどが目安です。年に24万円で、亡くなるまで続きます。 管理する財産が多いと、それより高くなります。額を決めるのは家庭裁判所です。
任意後見のほうは、引き受けた人への分と、任意後見監督人への分の2人分になります。 司法書士や弁護士に頼むと、合わせて月4万円から8万円。 身内や友人に無報酬で引き受けてもらう場合でも、任意後見監督人への月1万円から3万円は残ります。
毎年の報酬を出すのが難しい場合は、成年後見制度利用支援事業という助成があります。 家庭裁判所への申し立ての費用と、選ばれた後見人への報酬を、市区町村が出します。 助成には上限があり、介護施設に入っている場合は月18,000円以内、 自宅で暮らしている場合は月28,000円以内としている自治体が多いです。 対象になる線は住んでいるところで違うので、 市区町村の高齢福祉の担当課に収入や貯金の額を伝えて確認してみてください。 親族がいないことを理由に断られる制度ではありません。
よく聞かれること
自分で軽いほうを選ぶことはできますか
選べません。ただし、補助や保佐で始まったあとに判断する力がさらに落ちれば、あらためて申し立てて重いほうに移ります。回復して軽くなった場合も、申し立てて変えます。
申し立てるのに、いくらかかりますか
家庭裁判所に納めるのは、申し立ての手数料が収入印紙で800円、登記の手数料が収入印紙で2,600円、それに連絡用の郵便切手です。切手の額は家庭裁判所ごとに違い、全部で6,000円ほどになります。保佐や補助で代わりに動く力も付けてもらう場合は、そこに800円ずつ足します。判断する力を医師に詳しく調べてもらうよう家庭裁判所が求めた場合は、10万円ほどが加わります。これが行われるのは全体の3%ほどです。
後見が始まると、選挙に行けなくなりますか
行けます。以前は成年後見人が付くと選挙権がなくなる決まりでしたが、平成25年に法律が変わってなくなりました。いまは、後見が始まっても投票できます。
任意後見を結んでいれば、法定後見にはなりませんか
結んでいても、家庭裁判所が「本人の利益のため特に必要」と認めれば法定後見になります。取り消す力がないと守れないところまで判断する力が落ちたときなどです。逆に、結んであるのに誰も申し立てないまま判断が難しくなると、任意後見は使われないまま、法定後見に切り替わります。
一度始まると、途中でやめられますか
法定後見は、判断する力が戻らないかぎり続きます。引き受ける人を替えてもらうことはできますが、制度そのものをやめることはできません。任意後見は、任意後見監督人が選ばれる前ならいつでもやめられます。選ばれたあとは、家庭裁判所の許可を得てやめる形になります。許可が出るのは、引き受けた人が高齢や病気で続けられなくなった、遠くへ引っ越した、といった事情があるときです。
選びたいなら、判断できるうちに引き受ける人を決めて契約しておくことになります。 決めなければ、家庭裁判所が選びます。
相談の電話をかける先は、お住まいの都道府県の名前と「司法書士会」で調べると出てきます。 任意後見のほかに、財産を預けて管理してもらう家族信託と、 社会福祉協議会が生活費の出し入れを手伝う日常生活自立支援事業もあり、 3つの違いは認知症と口座のページにあります。







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