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任意後見制度のデメリット。取り消せないことと、始まらないことがあります
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入院の申込書の保証人の欄に名前を書くことは、任意後見人にはできません。 訪問販売で買ってしまったものを返すこともできません。取り消す力がないからです。 家庭裁判所が人を選ぶ成年後見なら取り消せます。契約したのに始まらない場合も2つあります。

任意後見人にできるのは、代わりに動くことまでです
任意後見は、判断が難しくなったときに備えて、自分で選んだ相手に、 あらかじめ決めた範囲のことを任せておく契約です。 任せる相手を任意後見人といいます。
あなたの代わりに銀行や役所で動くことはできます。銀行の窓口に立つ、介護施設と契約する、介護保険の届け出をする。 この3つは、任せることの一覧(代理権目録)に書いておいた範囲でできます。
でも、あなた自身がしてしまった契約を取り消すことはできません。判断が難しくなってきたころに訪問販売で高い布団を買ってしまっても、 任意後見人が「これは要らないので返します」と言うことはできません。 ただし、買ってから間もないものは、買い方によっては返せます。
| できること | 任意後見人 | 成年後見人 |
|---|---|---|
| 代わりに銀行や役所で動く | できます | できます |
| あなたがした契約を取り消す | できません | できます |
| 引き受ける人を自分で選ぶ | できます | できません |
| 任せる範囲を自分で決める | できます | できません |
亡くなるまで報酬が続くのは、任意後見も成年後見も同じです。 違うのは、引き受ける人を選べるかどうかと、途中でやめられるかどうかです。
動き出すには、家庭裁判所に見る役(任意後見監督人)を選んでもらう申し立てが要ります。 任せる相手が取り決めどおりに動いているかを見る人です。
入院の申込書の保証人の欄も、任意後見人には書けません。 病院が求めているのは、入院代を引き受ける人だからです。 そちらは別の頼み方があり、頼める先は入院の保証人がいないにまとめています。
身内も友人もいなくても頼めます。士業と、任意後見をやっている法人です
任意後見人になるのに、資格や親族という条件はありません。 頼めるのは、司法書士、弁護士、行政書士と、任意後見を引き受けているNPOや一般社団法人です。 身内や友人に頼むこともできますが、いなくても頼み先は残ります。
「確実に信頼できる人または組織に頼りたい」
探し方は3つあります。 司法書士会と弁護士会には後見の相談窓口があり、任意後見を引き受けている人を紹介してもらえます。 市区町村の地域包括支援センターも、成年後見の相談と紹介が仕事に入っています。 公証役場は契約を作る場所なので、扱っている専門職を知っています。
会ったときに聞くのは、これまでに任意後見を何件引き受けたか、 そのうち家庭裁判所に申し立てたのが何件かの2つです。 契約を作った件数と、実際に申し立てた件数は別のものです。
見る役への報酬は、無報酬で頼んでも消えません
見る役(任意後見監督人)は、年に1回、通帳や領収書を確かめて家庭裁判所に報告します。 任せる相手が身内でも友人でも、この役は必ず付きます。断ることも、なしで始めることもできません。
多くの方は月1万円から2万円です。管理する財産が5,000万円以下ならこの額で、それを超えると月2万5,000円から3万円になります。 額を決めるのは家庭裁判所で、契約では変えられません。 友人に無報酬で引き受けてもらっても、この分は残ります。
任せる相手そのものへの報酬は、契約で決めます。 司法書士や弁護士に頼む場合は月3万円から5万円が相場で、友人や知人なら無報酬にすることもできます。

報酬が発生するのは、見る役が選ばれてからです。契約した日からではありません。 80歳で選ばれて10年なら、見る役への分は120万円から240万円ほどになります。
契約するときにかかるのは別です。公証役場に2万円ほどかかります。 任意後見の契約書を司法書士や弁護士に作ってもらうと、別に5万円から15万円かかります。 合わせて7万円から17万円を見ておけば足ります。
生活保護を受けている場合や、それに近い状態の場合は、市区町村が報酬を助成する制度があります。 ただし、判断が難しくなってから家庭裁判所が人を選ぶ成年後見だけを対象にしているところが多く、 任意後見の見る役の報酬まで出るかは市区町村で違います。 市区町村の代表電話で「任意後見監督人の報酬に助成が出るかを聞きたい」と言うと、担当の課につながります。 「見る役」はこの記事の言い方なので、電話では正式な名前で言うと通じます。
「不安があるが、資金もないしどうしたらいいかわからない。」
訪問販売で買った布団は、8日を過ぎると取り消せません
取り消せなくても、買い方によっては返せます。 訪問販売で買ったものは、任意後見人が代わりに取り消せます。ただし8日以内です。 数えはじめは、契約書か申込書を受け取った日です。 訪問販売では、この紙を渡さなければなりません。渡されていない場合は、8日を過ぎても返せます。
電話勧誘で買ったものも同じ8日です。 うそを言われて買った場合は、うそに気づいてから1年、契約から5年のあいだなら取り消せます。 自分から店に行って買ったものは、はじめから取り消せません。
問題は、期限に気づく人がいるかどうかです。 ひとり暮らしで、買ったこと自体を誰も知らなければ、8日はそのまま過ぎます。
見守り契約は、任意後見を任せる相手と結びます。 月1万円ほどで、月に一度の電話と、何か月かに一度の訪問がつきます。 8日には間に合わないことがあります。 それでも、うそを言われて買ったものは気づいてから1年あるので、月に一度の連絡でも間に合います。

契約したのに始まらない場合が2つあります
任意後見は、家庭裁判所が見る役を選んだ時点から動き出します。 見る役が選ばれなければ、任意後見の契約書があっても何も始まりません。 選ばれない場合は、法律で決まっています。
1つめ ── 自分でした契約を取り消してもらわないと、暮らしが守れなくなったとき
不利な契約を繰り返してしまい、代わりに動くだけでは守れない状態になっていると、見る役は選ばれません。 そこまで進んでいるかどうかは、医師の診断書と家庭裁判所の面談で判断します。 すでに成年後見が始まっているときも、選ばれません。
つまり、契約してから何年も置いたあいだに判断が難しくなりすぎると、 任意後見は使われないまま、家庭裁判所が人を選ぶ成年後見に進むことになります。
任せる相手として適さない事情がある場合も、選ばれません。 破産している人、家庭裁判所で解任されたことのある人、あなたと裁判で争っている人、 お金の扱いで不正のあった人です。 契約のときは何ともなくても、動き出すまでのあいだに当てはまることがあります。 破産などがあれば知らせてもらうことを、契約に入れておけます。 当てはまった相手では見る役が選ばれないので、自分で決められるうちに別の相手と結び直します。
2つめ ── あなたが「まだ大丈夫」と言っているとき
見る役を選んでもらう申し立てができるのは、あなた、配偶者、四親等以内の親族、 それに契約で任せる相手の4者です。 四親等以内の親族には、兄弟姉妹、おい・めい、おじ・おば、いとこまで入ります。
あなた以外が申し立てるときは、あなたの同意が要ります。同意できるだけの判断が残っているうちにあなたが首を縦に振らなければ、 家庭裁判所に申し立てられず、任意後見は始まりません。 同意が要らなくなるのは、あなたがその意思を示せない状態になったときです。 同意の意味が分からないところまで進めば、任せる相手だけで申し立てられます。
いちばん進まないのは、受け答えはできるけれどあなたが「まだ早い」と思っているあいだです。 任せる相手から見ると、そろそろだと分かっていても申し立てられません。
配偶者も親族もいない場合、申し立てられるのは任せる相手だけです。 その相手が家庭裁判所に申し立てをしなければ、任意後見は始まりません。 だから、月に一度連絡をもらう形にしておくのと、 どうなったら申し立てるかを契約のときに決めておくのが要ります。 「同じ物を二度買ってしまったら」「通帳の置き場所が分からなくなったら」のように、 起きたことで分かる形にしておくと、そのときに迷いません。
取り消せる成年後見へ移るには、家庭裁判所が「特に必要」と認めることが要ります
成年後見に移れる場合は、決められています。 任意後見のほうが優先されます。 移れるのは、家庭裁判所が「本人の利益のため特に必要」と認めたときだけです。
認められる例として挙がっているのは、次の4つです。 任せる範囲が足りず、必要なことができないとき。 任せる相手が見る役を選んでもらう申し立てをしないまま放っているとき。 自分でした契約を取り消してもらわないと、暮らしが守れなくなったとき。 任せる相手に払うと決めた報酬が高すぎるとき。
4つのうち、こちらで防げるのは放っておかれることだけです。 残りの3つは、そのときの状態しだいです。
移ったあとは、誰が引き受けるかも家庭裁判所が決めます。 自分で選んだ相手に任せるつもりで結んだ契約が、そこで終わります。
やめるときは、見る役が選ばれたあとだけ家庭裁判所の許可が要ります
見る役が選ばれる前なら、いつでもやめられます。理由も要りません。 あなたからでも、任せる相手からでも、片方の意思だけでやめられます。
手順は4つです。やめると書いた書面を作り、公証役場で認証を受け、 任せる相手に配達証明付きの内容証明郵便で送ります。届いた時点でやめたことになります。 そのあと、法務局に登記を消す申請をします。 認証の手数料は1万1,000円を見ておけば足ります。登記の申請そのものは無料です。
見る役が選ばれたあとは、正当な事由があるときに限り、家庭裁判所の許可を得てやめる形になります。 やめる理由が要ります。 することは同じ4つで、登記を消す申請に付ける紙が2枚増えます。 許可の審判書と、それが確定したことの証明書です。
動き出す前なら、いつでも任せる相手を変えられます。 動き出したあとに「この人ではなかった」と思っても、そこからは家庭裁判所を通す話になります。
よく聞かれること
任せることの一覧に、何でも入れられますか
入れられるのは、預貯金の出し入れ、介護施設と病院の支払い、介護サービスの契約、住んでいる家の処分、市区町村への届け出です。入れられないのは、あなたの財産を必要もないのに減らす行為です。寄付と贈与はここに当たり、一覧に書いても、見る役と家庭裁判所が認めません。生きているあいだの寄付は、自分でできるうちに済ませておく形になります。亡くなったあとに寄付を残すなら、遺言書の書き方のほうです。
見る役を付けずに始めることはできませんか
任意後見は、家庭裁判所が見る役を選んだ時点から動き出す仕組みです。この役なしで任せる相手が銀行の窓口に立つことはできません。見る役を付けたくない方が選ぶのは、財産を預けて管理してもらう家族信託のほうです。こちらは家庭裁判所が関わらないかわりに、預かる役を引き受けてくれる個人が要ります。
任せる相手がお金を使い込んだら、取り戻せますか
返すよう求めることはできます。ただし、使ってしまったあとに任せる相手にお金が残っていなければ、戻りません。見る役の報告で使い込みが分かれば、家庭裁判所が任せる相手を解任できます。解任を求められるのは、あなた、親族、見る役です。確かめるのは年に1回なので、その場で気づけるわけではありません。任せる相手との契約に、通帳の写しを毎年見せてもらうと入れておくこともできます。
身元保証会社と契約していますが、任意後見も入っていますか
身元保証、生活支援、死後事務をひとまとめにして、任意後見はあとから足すものとして案内している会社があります。足していれば、見る役への報酬も別にかかります。いま結んでいる契約書に「任意後見」の文字があるかを確かめてみてください。入っていなければ、任意後見だけを別の相手と結ぶこともできます。
契約したあと、任せることを増やせますか
自分で決められるうちなら増やせます。契約を結び直すか、足す分を別に結ぶ形です。難しくなってからはできません。一覧に書いていないことは、任せる相手でもできないので、迷うものは入れておく形になります。増やすときも公証役場で公正証書にするので、そのつど2万円ほどかかります。
ここに書いたことは、どれも契約したあとに効いてきます。 まず頼み先を1つ決めるところからです。
任意後見をやめて別の備えにする場合、預かってくれる身内や友人がいるなら家族信託。 いない場合は、市区町村の社会福祉協議会が引き受ける日常生活自立支援事業のほうです。任意後見・家族信託・日常生活自立支援事業の3つの違いは認知症と口座のページにあります。







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